レアル・マドリードは、スペイン国内外で数々のタイトルを獲得してきた欧州屈指の名門クラブであり、「ラ・リーガ」「UEFAチャンピオンズリーグ」などで歴史的な成功を収めてきました。攻撃的なスタイルを持つクラブですが、成功の裏には常に偉大なゴールキーパーの存在がありました。
本記事では、レアル・マドリードの歴代ゴールキーパーを振り返り、彼らのプレーの特徴やその活躍ぶりを紹介します。そして、最強のゴールキーパーが誰なのかを検証していきます。
レアル・マドリードのゴールキーパーの特徴
レアル・マドリードのGKには、クラブのスタイルに適応するために以下のような能力が求められます。
- シュートストップ能力:高いライン設定のため、決定機でのビッグセーブが不可欠。
- 1対1の強さ:相手のカウンター攻撃に対応できる反応速度。
- メンタルの強さ:プレッシャーの大きいクラブのため、勝負強さと安定感が求められる。
- ビルドアップ能力:近年では、足元の技術を持つGKが評価される傾向にある。
このような特徴を持つ歴代の名GKたちを振り返ってみましょう。
レアル・マドリードに在籍した有名なゴールキーパー
レアル・マドリードの歴史において、ゴールキーパーを紹介します。
選手名 | 在籍期間 | 特徴 |
---|---|---|
ホセ・ビセンテ・トライン | 1960-1964 | クラブの初期黄金期を支えた守護神 |
ミゲル・アンヘル | 1968-1986 | 長年にわたりゴールを守った安定感あるGK |
フランシスコ・ブーヨ | 1986-1997 | 反射神経に優れたシュートストッパー |
ボド・イルクナー | 1996-1998 | CL優勝を経験したドイツ代表GK |
イケル・カシージャス | 1999-2015 | クラブの象徴、スペイン代表の伝説的GK |
ディエゴ・ロペス | 2000-2007, 2013-2014 | 2度の在籍、堅実なセービング |
ケイロル・ナバス | 2014-2019 | CL3連覇の立役者、俊敏な反応 |
ティボ・クルトゥワ | 2018-現在 | 近代型GKの完成形、高身長と冷静さ |
このうち、2000年以降のレアル・マドリードの成績と、そのシーズンの正GKを振り返ってみましょう。
シーズン | ラ・リーガ成績 | 欧州カップ成績 | 正GK |
---|---|---|---|
2000-01 | 優勝 | CLベスト4 | カシージャス |
2001-02 | 3位 | CL優勝 | カシージャス |
2002-03 | 優勝 | CLベスト4 | カシージャス |
2003-04 | 4位 | CLベスト8 | カシージャス |
2004-05 | 2位 | CLベスト16 | カシージャス |
2005-06 | 2位 | CLベスト16 | カシージャス |
2006-07 | 優勝 | CLベスト16 | カシージャス |
2007-08 | 優勝 | CLベスト16 | カシージャス |
2008-09 | 2位 | CLベスト16 | カシージャス |
2009-10 | 2位 | CLベスト16 | カシージャス |
2010-11 | 2位 | CLベスト4 | カシージャス |
2011-12 | 優勝 | CLベスト4 | カシージャス |
2012-13 | 2位 | CLベスト4 | カシージャス ディエゴ・ロペス |
2013-14 | 3位 | CL優勝 | ディエゴ・ロペス |
2014-15 | 2位 | CLベスト4 | カシージャス |
2015-16 | 2位 | CL優勝 | ナバス |
2016-17 | 優勝 | CL優勝 | ナバス |
2017-18 | 3位 | CL優勝 | ナバス |
2018-19 | 3位 | CLベスト16 | クルトゥワ |
2019-20 | 優勝 | CLベスト16 | クルトゥワ |
2020-21 | 2位 | CLベスト4 | クルトゥワ |
2021-22 | 優勝 | CL優勝 | クルトゥワ |
2022-23 | 2位 | CLベスト4 | クルトゥワ |
2023-24 | 優勝 | CL優勝 | アンドリー・ルニン |
2024-25 | ー | ー | クルトゥワ |
カシージャスがいかにこのクラブで長きにわたり活躍してきたかが一目でわかりますね。
2000年以降に活躍したレアル・マドリードのGKを紹介
イケル・カシージャス:クラブの象徴(1999年~2015年)
名前:イケル・カシージャス(Iker Casillas)
国籍:スペイン
所属チーム:引退(レアル・マドリード→ポルト)
誕生日:1981年5月20日
身長/体重:184cm/84kg
代表歴:スペイン代表(2000-2016)
カシージャスのプレースタイルと特徴
- 反射神経の鋭さ:至近距離でのシュートストップ能力が非常に高い。
- 1対1の強さ:相手との駆け引きに優れ、決定機を阻止する能力に長ける。
- キャプテンシー:レアル・マドリードとスペイン代表でキャプテンを務め、リーダーとしての資質を発揮。
カシージャスのクラブでのキャリア
1999-2000シーズンにレアル・マドリードBからトップチームへ昇格し、リーグ第3戦でスタメンデビュー。その後、UEFAチャンピオンズリーグ決勝にも19歳で出場し、歴代最年少記録(19歳4日)を更新して優勝に貢献しました。その後、2001-02シーズンにもCL決勝で活躍し、レアルの象徴的存在へと成長しました。
2007-08シーズンには、リーグ戦36試合32失点という成績を収め、サモラ賞を受賞しました。また、2008年にはバロンドール投票でゴールキーパー最高順位の4位に入り、その実力が世界的に認められました。2009年にはクラブのゴールキーパー最多出場記録を更新しました。
2010-11シーズンからはキャプテンとしてチームを牽引し、2011年には通算無失点試合数でクラブ記録に並びました。2013-14シーズンにはチャンピオンズリーグを制し、クラブ通算3度目の欧州制覇を達成しました。
モウリーニョとの確執
カシージャスのキャリアの中で最大の試練の一つが、ジョゼ・モウリーニョ監督との確執でした。
- 2011-12シーズン:カシージャスはチームのキャプテンとして、モウリーニョ政権下でも活躍していたが、戦術や選手との関係をめぐり衝突があったとされる。
- 2012-13シーズン:モウリーニョはカシージャスをベンチに置き、ディエゴ・ロペスを正GKに抜擢。この決定により、チーム内外で意見が分かれた。
- 影響:この確執はレアル・マドリードの内部対立を深め、最終的にモウリーニョの退任につながる一因となった。
カシージャスはその後、2015年にクラブを去り、ポルトへ移籍。彼の退団は多くのファンにとって衝撃的な出来事でした。モウリーニョもカシージャスも大好きな私としてな、なんとも言い難い悲しい出来事でしたね。。
カシージャスのレアル・マドリードにおける主要タイトル
チームタイトル
- FIFAクラブワールドカップ : 2014
- トヨタ ヨーロッパ/サウスアメリカ カップ : 2002
- UEFAチャンピオンズリーグ : 1999-00, 2001-02, 2013-14
- UEFAスーパーカップ : 2002, 2014
- リーガ・エスパニョーラ : 2000-01, 2002-03, 2006-07, 2007-08, 2011-12
- コパ・デル・レイ : 2010-11, 2013-14
- スーペルコパ・デ・エスパーニャ : 2001, 2003, 2008, 2012
個人タイトル
- リーガ・エスパニョーラ 最優秀新人賞 : 1999-00
- リーガ・エスパニョーラ サモラ賞 : 2007-08
- UEFAチーム・オブ・ザ・イヤー : 2007, 2008, 2009, 2010, 2011, 2012
- 欧州最優秀ゴールキーパー賞 : 2010
カシージャスの有名なセーブ
2010年 コパ・デル・レイ決勝 vs バルセロナ
- 後半終盤、メッシの強烈なシュートを見事にセーブし、試合を延長戦に持ち込みました。最終的にレアル・マドリードは優勝を果たしました。逆に体重がかかっている状態だったので、非常に難しいセーブだったと思います!(動画埋め込みできなかったので、「YouTubeで見る」をクリックして是非見てみてください!)
2002年 UEFAチャンピオンズリーグ決勝 vs バイエル・レバークーゼン
- 若かりし頃のカシージャス。セサル・サンチェスが負傷し途中交代で出場したUEFA決勝!試合終盤、ディミタール・ベルバトフの至近距離からのシュートを驚異的な反応で防ぎ、チームの優勝に貢献しました!!勝負強い!
2011年 ラ・リーガ vs セビージャ
- 1対1の場面でネグレドの決定的なシュートを足でブロックし、レアル・マドリードの勝利を確実なものにしました。こういう逆サイドにふられた直後のセーブ、カシージャスは得意ですよね。
ディエゴ・ロペス(2013年~2014年)
名前:ディエゴ・ロペス(Diego López)
国籍:スペイン
所属チーム:引退(レアル・マドリード→ビジャレアル→セビージャ→レアル・マドリード→ACミラン→エスパニョール)
誕生日:1981年11月3日
身長/体重:196cm/88kg
代表歴:スペイン代表(2009-2014)
ディエゴ・ロペスのクラブでのキャリアと特徴
ディエゴ・ロペスは2000年にレアル・マドリードの下部組織に加入し、トップチームデビューを果たしました。その後、ビジャレアルで正GKとして活躍し、2013年にレアル・マドリードへ復帰。モウリーニョ監督の下でカシージャスを抑えて正GKに定着しました。
彼のプレースタイルは冷静で堅実なシュートストップと、高身長を活かしたクロス対応が特徴です。カシージャスと異なり、安定感のあるプレーでチームを支えました。
ディレゴ・ロペスの獲得タイトル
- UEFAチャンピオンズリーグ:1回(2013-14)
- コパ・デル・レイ:1回(2013-14)
ディエゴ・ロペスの有名なセーブ
- 2013年のバルセロナ戦で、メッシの至近距離からのシュートを反応速度でセーブ!! 記憶に残っているセーブです。(「YouTubeで見る」をクリックして、是非みてください!)
- 2014年のCL準決勝で、ドルトムントの猛攻を防ぎ無失点に貢献!中でギュンドアンのシュートを防いだシーンは素晴らしい!
ケイロル・ナバス:CL3連覇の立役者(2014年~2019年)
名前:ケイロル・ナバス(Keylor Navas)
国籍:コスタリカ
所属チーム:ニューウェルズ・オールドボーイズ(デポルティーボ・サプリサ→アルバセテ→レバンテ→レアル・マドリード→パリ・サンジェルマン→ノッティンガム・フォレスト→)
誕生日:1986年12月15日
身長/体重:185cm/80kg
代表歴:コスタリカ代表(2008-)
ナバスのクラブでのキャリアと特徴
ケイロル・ナバスは2014年にレバンテからレアル・マドリードへ移籍しました。2015年にカシージャスが退団すると、正GKに定着し、クラブ史に残る活躍を見せました。特に、UEFAチャンピオンズリーグ3連覇(2015-16、2016-17、2017-18)に貢献したことで、レアル・マドリードの歴代屈指のGKと評価されています。
コスタリカ代表のゴールキーパーでもあるナバスは、2022年のワールドカップで日本代表と対戦したのを覚えている方もいるのではないでしょうか。
ナバスのプレースタイルは、
- 反応速度の速さ:至近距離のシュートにも素早く対応できる。
- 冷静な判断力:プレッシャーのかかる試合でも落ち着いてプレーできる。
- 1対1の強さ:相手FWとの駆け引きに優れ、決定機を阻止する能力が高い。
2019年にはパリ・サンジェルマンへ移籍し、フランスでも安定したパフォーマンスを見せました。
ナバスの獲得タイトル
- UEFAチャンピオンズリーグ:3回(2015-16、2016-17、2017-18)
- ラ・リーガ:1回(2016-17)
- コパ・デル・レイ:1回(2019-20)
- FIFAクラブワールドカップ:4回(2014、2016、2017、2018)
ナバスの有名なセーブ
- 2016-17 CL準決勝 vs アトレティコ・マドリード:怒涛のダブルセーブで決勝進出に貢献!
- 2017-18 CL決勝 vs リヴァプール:マネの決定的なシュートをストップし、優勝に貢献。
- 2015-16 CL準々決勝 vs ヴォルフスブルク:チームが逆転する中、何度もビッグセーブを見せた。
ケイロル・ナバスは、決して派手ではないものの、勝負強さと安定感でレアル・マドリードの歴史に名を刻んだゴールキーパーと言えるでしょう。
ティボ・クルトゥワ:現代最高峰のGK(2018年~現在)
名前:ティボ・クルトゥワ(Thibaut Courtois)
国籍:ベルギー
所属チーム:レアル・マドリード(ヘンク→チェルシー→アトレティコ・マドリード→チェルシー→)
誕生日:1992年5月11日
身長/体重:200cm/96kg
代表歴:ベルギー代表(2011-)
クルトゥワのクラブでのキャリアと特徴
ティボ・クルトゥワは2018年にチェルシーからレアル・マドリードへ移籍しました。最初は批判もありましたが、次第に安定したセービングを見せ、2021-22シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ優勝に大きく貢献しました。
クルトゥワのプレースタイルは、
- 圧倒的な高さとリーチ:200cmの長身を活かし、至近距離のシュートもブロック。
- 冷静な判断力:1対1の場面で焦らず対応。
- ビルドアップ能力:正確なフィードでチームの攻撃を組み立てる。
クルトゥワの獲得タイトル
- UEFAチャンピオンズリーグ:1回(2021-22)
- ラ・リーガ:2回(2019-20、2021-22)
- コパ・デル・レイ:1回(2022-23)
- FIFAクラブワールドカップ:1回(2018)
クルトゥワの代表辞退の理由は?
2025年3月、クルトゥワの代表選出が話題になりました。ベルギー代表として100試合以上出場しているクルトゥワが、2024年以降は一度も代表に選出されていません。
その原因は、2023年夏に負った前十字じん帯損傷の影響もありますが、それ以上にドメニコ・テデスコ前監督との確執と言われています。そのため、大ケガから復帰した後も代表招集を拒否する状況が続いていました。
2023年6月に負傷した主将ケビン・デ・ブライネに代わりキャプテンを任されなかったことが、代表辞退の理由ではないかという報道もありますが、これについては本人が否定しています。しかし、「監督との関係が崩れれば難しい」と監督との確執が原因で招集を拒否していたことは本人も認めているようです。残念ですよね。
しかし、2025年3月にルディ・ガルシア新監督が就任したことを受け、約2年ぶりにベルギー代表に復帰を果たしました!クラブではもちろん、ベルギー代表としての活躍も、今後楽しみですね。
クルトゥワの有名なセーブ
- 2021-22 CL決勝 vs リヴァプール:数々の決定的なシュートを止めまくり、レアル・マドリードを優勝に導く!
- 2022-23 ラ・リーガ vs バルセロナ:レヴァンドフスキの至近距離シュートを防ぐなど、1対1のシーンを何度も防いだ試合。すごかったです。
- 2021-22 CL準々決勝 vs チェルシー:アスピリクエタの強烈なミドルシュートを見事にセーブ。かなり良いコースへのシュートでしたが、これが止められてしまうのは相手にとっては絶望的でしょう。
レアル史上最強のゴールキーパーは誰か?
レアル・マドリードの歴史上、最強のゴールキーパーは誰なのか?多くのファンが「カシージャスか?クルトゥワか?」という議論を交わしていることと思います。この議論について、私なりに考察します。
カシージャス vs クルトゥワ:成績比較
まずは、二人の成績を比較してみましょう。
項目 | イケル・カシージャス | ティボ・クルトゥワ |
---|---|---|
在籍期間 | 1999-2015 | 2018-現在 |
出場試合数 | 725試合 | 273試合 |
総失点数 | 751失点 | 259失点 |
総クリーンシート | 264 | 108 |
ラ・リーガ優勝 | 5回 | 2回 |
CL優勝 | 3回 | 1回 |
コパ・デル・レイ優勝 | 2回 | 1回 |
個人賞 | サモラ賞1回、UEFA最優秀GKなど | サモラ賞1回、CL決勝MVP |
キャプテン経験 | あり | なし |
どちらも素晴らしいですが、やはり現時点ではカシージャスがチームにもたらしたタイトル、そして残したスタッツはカシージャスに分があるでしょうか。
イケル・カシージャスの凄さ
- 圧倒的な実績:ラ・リーガ5回、UEFAチャンピオンズリーグ3回優勝
- ビッグマッチでの強さ:CL決勝やクラシコでの数々のビッグセーブ
- リーダーシップ:クラブのキャプテンとして長年チームを牽引
- 象徴的な存在:カンテラ(下部組織)出身で、クラブの魂とも言える存在
ティボ・クルトゥワの凄さ
- 身体能力の高さ:200cmの長身を活かした圧倒的なシュートストップ
- 近年の無双ぶり:2021-22シーズンのCL決勝でマン・オブ・ザ・マッチを獲得
- 安定感:プレッシャーに強く、ビルドアップにも貢献
- 実績も充実:ラ・リーガ2回、UEFAチャンピオンズリーグ1回優勝
結論:最強GKはカシージャス
クルトゥワは現代サッカーにおいてトップクラスのGKで、単純にGKとしての能力を比較したら、おそらくクルトゥワが上なのではないかと思います。しかし、クラブへの貢献度、タイトル数、レアル・マドリードの象徴としての存在感を考えると、やはりカシージャスが歴代最強のGKと言える、というのが私としての結論です。
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レアル・マドリードの歴代ゴールキーパーを振り返り、紹介しました。
- イケル・カシージャス(1999年~2015年)
- ディエゴ・ロペス(2013年~2014年)
- ケイロル・ナバス(2014年~2019年)
- ティボ・クルトゥワ(2018年~現在)
レアル・マドリードのゴールを守ることは、単なるポジション以上の意味を持ちます。今後も新たな名守護神が現れることを期待したいですね。