名古屋グランパスは、Jリーグ創設時からのオリジナル10の一員として日本サッカー界を支えてきたクラブです。特にゴールキーパーのポジションには歴代多くの名手が名を連ね、チームの躍進を陰で支えてきました。本記事では、名古屋グランパスの歴代ゴールキーパーを振り返り、彼らの功績やクラブへの貢献を紹介します。
名古屋グランパスの歴代正GKと成績一覧
Jリーグ開幕以来、名古屋グランパスの各シーズンの成績と正GKを一覧にまとめました。
シーズン | 成績(J1リーグ) | その他成績 | 正GK |
---|---|---|---|
1993 | 9位 | 伊藤裕二 | |
1994 | 11位 | 伊藤裕二 | |
1995 | 3位 | 天皇杯優勝 | ハーフナー・ディド |
1996 | 2位 | ゼロックス杯 優勝 | 楢﨑正剛 |
1997 | 9位 | 楢﨑正剛 | |
1998 | 5位 | 楢﨑正剛 | |
1999 | 4位 | 天皇杯優勝 | 楢﨑正剛 |
2000 | 9位 | 楢﨑正剛 | |
2001 | 5位 | 楢﨑正剛 | |
2002 | 6位 | 楢﨑正剛 | |
2003 | 7位 | 楢﨑正剛 | |
2004 | 7位 | 楢﨑正剛 | |
2005 | 14位 | 楢﨑正剛 | |
2006 | 7位 | 楢﨑正剛 | |
2007 | 11位 | 楢﨑正剛 | |
2008 | 3位 | 楢﨑正剛 | |
2009 | 9位 | 天皇杯準優勝 | 楢﨑正剛 |
2010 | 1位(優勝) | 楢﨑正剛 | |
2011 | 2位 | ゼロックス杯 優勝 | 楢﨑正剛 |
2012 | 7位 | 楢﨑正剛 | |
2013 | 11位 | 楢﨑正剛 | |
2014 | 10位 | 楢﨑正剛 | |
2015 | 9位 | 楢﨑正剛 | |
2016 | 16位(J2降格) | 楢﨑正剛 | |
2017(J2) | 3位(J1昇格) | 昇格PO 優勝 | 楢﨑正剛 |
2018 | 15位 | ランゲラック | |
2019 | 13位 | ランゲラック | |
2020 | 3位 | ランゲラック | |
2021 | 5位 | ランゲラック | |
2022 | 8位 | ランゲラック | |
2023 | 6位 | ランゲラック | |
2024 | 11位 | ランゲラック | |
2025 |
中でも際立つのは、やはり楢崎正剛選手の存在です。楢﨑正剛は20年以上にわたり名古屋グランパスの守護神として活躍し、チームを支えてきましたレジェンドGKであることは、もはや説明不要でしょう。
ここからは、今まで名古屋で活躍した歴代のゴールキーパー達を紹介していきます。
名古屋グランパスの歴代GKゴールキーパーの紹介
伊藤裕二(1992年~1999年)
名前:伊藤裕二(Yuji Ito)
国籍:日本
所属チーム:引退(ヤンマー→名古屋グランパス→湘南ベルマーレ→)
誕生日:1965年5月20日
身長/体重:182cm / 75kg
代表歴:ー
伊藤裕二のクラブでのキャリア
伊藤裕二選手は、名古屋グランパスでのキャリアがスタート。Jリーグ開幕前はディド・ハーフナーが正GKを務めていましたが、Jリーグ開幕から正GKの地位を固め、1997年のオールスターにファン投票で選出されるなど、その実力を証明しました。しかし、1999年に楢﨑正剛が加入すると正GKの座を奪われ、出場機会を求めて湘南ベルマーレに移籍。その後、2002年に現役引退しました。
伊藤裕二の引退後のキャリアと現在
引退後は名古屋グランパスに指導者として復帰し、育成からトップチームまで多くのコーチを歴任しました。ドラガン・ストイコビッチ監督退任後は、名古屋を離れ、2014年2月からは中部大学第一高等学校で事務職員として勤務し、サッカー部監督も兼任しています。
Number Webにこんな記事も出てましたね!
指導の原点は“ピクシーを叱ったベンゲル” 元名古屋GK伊藤裕二56歳が率いる中部大第一の挑戦「僕らが一番弱いんじゃないかな」 - 高校サッカー - Number Web - ナンバー
ハーフナー・ディド(1992年~1994年)
名前:ハーフナー・ディド(Havenaar Dido)
国籍:日本
所属チーム:引退(ADOデン・ハーグ→マツダ→読売クラブ→読売ジュニオール→名古屋グランパスエイト→ジュビロ磐田→コンサドーレ札幌)
誕生日:1957年9月26日
身長/体重:187cm / 88kg
代表歴:ー
ハーフナー・ディドのクラブでのキャリア
ハーフナーは1986年にオランダから来日し、JSL(日本サッカーリーグ)でプレー。名古屋(当時のトヨタ自動車)にきたのは現役引退後、1991年にGKコーチとしてでした。しかし、すぐに現役に復帰しJリーグ開幕とともに名古屋とプロ契約!その後、ジュビロ磐田やコンサドーレ札幌でも選手兼GKコーチとして活躍していました。
日本代表のGKコーチも兼任!
名古屋で活躍する傍ら、ハーフナーはアメリカW杯を目指すオフト監督率いる日本代表のGKコーチも兼任していました!いわゆるドーハの悲劇も経験されています。
GKコーチですが、試合中もずっとロイシュのキーパーグローブを装着し続けていたのが印象的です。
現役引退後はコーチを歴任
現役引退後も長らく日本に留まり、GKコーチとして指導にあたっていました。と、いっても現役時代からコーチを兼任することが多かったので、現役と引退後の境界線は明確ではありません。指導歴はこんな感じ。
- 1991年 : トヨタ GKコーチ
- 1993年 : 日本代表 GKコーチ
- 1995年 ~1996年 : ジュビロ磐田 GKコーチ
- 1999年 - 2002年 : コンサドーレ札幌 GKコーチ
- 2003年 - 2006年 : 横浜Fマリノス GKコーチ
- 2007年 : 流通経済大学 コーチ
- 2007年 : U-16日本代表 GKコーチ
- 2008年~2011年 : 名古屋グランパス アシスタントコーチ
- 2011年~2012年 : 清水エスパルス トップチームコーチ
- 2013年~2014年 : 水原三星ブルーウィングス GKコーチ
選手兼GKコーチなんて、日本のトップクラスのチームではほとんど聞いたことありませんよね。しかし、当時はチームに1人GKコーチがいること自体が珍しかった時代です。ハーフナーのようにサッカー先進国でのプロ経験をもったGKの知識や技術というのは大変貴重だったことが容易に想像できますね。
日本へ帰化!ディド・ハーフナーからハーフナー・ディドへ
当時の名古屋グランパスでの登録名はディド・ハーフナーでしたが、1994年にかけ一家全員で日本国籍取得したことを受け、ハーフナー・ディドに登録が変更されています!
なお、息子さんのハーフナー・マイクは、横浜Fマリノスやヴィッセル神戸、海外リーグでも活躍した元プロサッカー選手で、日本代表でもFWとして18試合出場しています!
楢﨑正剛(1995年~2018年)
楢﨑正剛は、日本代表でも長年活躍したレジェンドGKです。1995年に横浜フリューゲルスから加入し、以降23年間にわたって名古屋のゴールを守りました。
名前:楢﨑正剛(Narazaki Seigo)
国籍:日本
所属チーム:引退(横浜フリューゲルス→名古屋グランパス)
誕生日:1976年4月15日
身長/体重:187cm / 80kg
代表歴:日本代表(1998-2010)
楢崎正剛のクラブでのキャリア
楢崎選手ののクラブでのキャリアを簡単にまとめました。
- 1995年に横浜フリューゲルスから移籍し、1年目で正GKの座を獲得。
- 2000年から2013年まで14シーズン連続でキャプテンを務め、名古屋の象徴的存在に。
- 2009年7月25日、浦和戦でJリーグ史上初の「100完封」達成。
- 2010年、Jリーグ初優勝を果たし、GKとして初のJリーグMVPを受賞。
- 2012年、J1通算500試合出場を達成。
- 2013年、J1通算512試合出場で最多出場記録を更新。
- 2016年、チームのJ2降格を経験。
- 2017年、J1昇格を果たすも終盤に正GKの座を武田洋平に譲る。
- 2018年、現役を引退。
楢崎正剛の引退後のキャリアと現在
- 2019年:名古屋グランパスで、Jクラブ初のCSF(クラブスペシャルフェロー)として活動を開始。CSFは、楢崎のために誕生した役職で、後進のGK育成や国内外の指導・育成現場の視察を行う。また、渉外・広報活動やホームタウン活動にも従事する。
- 2019年:Jリーグ理事会で、Jリーグ功労選手賞を授与される。
- 2020年::名古屋グランパスで「クラブスペシャルフェロー」に加え、「アカデミーダイレクター補佐」および「アカデミーGKコーチ」としても活動開始。
- 2021年:日本サッカー協会のオンライン理事会の承認により、JFAトレセンコーチに就任。全国各地で有望な若手GKを育成する。
- 2020年 - 2023年:アカデミーダイレクター補佐兼アカデミーGKコーチ
- 2024年:名古屋グランパストップチーム アシスタントGKコーチ
- 2025年:名古屋グランパス トップチーム GKコーチ
楢崎正剛が獲得したタイトル
チームタイトル
- 1999年 天皇杯優勝
- 2010年 Jリーグ優勝
個人タイトル
- Jリーグ最優秀選手賞 (2010年)
- Jリーグベストイレブン (1996年、1998年、 2003年、2008年、2010年、2011年)
- Jリーグ優秀選手賞 (1997年、1998年、1999年、2000年、2002年、2003年、2004年、2008年、2010年、2011年)
- Jリーグ功労選手賞 (2019年)
歴代最多6度のベスト11とGKとして唯一のMVP!!
楢崎正剛は、GKとして歴代で唯一JリーグアウォーズでMVP(最優秀選手賞)を獲得した選手です。名古屋がJ1リーグで優勝した2010年に、フィールドプレイヤーを抑えて年間MVPに選出されています。
また、ベスト11にも歴代最多タイの6度、選出されています。
楢崎正剛の有名なセーブ
2010年J1優勝決定戦でのスーパーセーブ
- 名古屋グランパスがJ1初優勝を決めた試合で、幾度となく相手の決定機を防ぎ、優勝の立役者となりました!
2008年ACLでの劇的セーブ
- AFCチャンピオンズリーグでの試合では、数々のシュートをことごとく防ぎ、名古屋を歴代最高のベスト4に導きました!
2011年ゼロックス杯の伝説のPK戦
- 2011年のセロックス杯のPK戦。鹿島3人目のアレックスのシュートをまさかのキャッチ!このセーブを含む3本のストップで見事にチームにタイトルを
2010年Jリーグ、ガンバ大阪戦のセーブ
- 最後に紹介するのが、ご本人も現役時代のベストセーブに挙げているガンバ大阪戦の終了間際のセーブ!至近距離からのシュートがディフェンスの足に当たり、頭上を越えて完全にゴール!と思ったらまさかの反応で左手一本でボールを掻き出すセーブ!反応するのも難しいが、反応して触ってもはじき出すのはもっと難しい!2010年の楢崎は本当に無双状態でした。
ミッチェル・ランゲラック(2018年~2024年)
名前:ミッチェル・ランゲラック(Mitchell Langerak)
国籍:オーストラリア
所属チーム:メルボルン・ビクトリーFC(メルボルン・ビクトリーFC→サウス・メルボルンFC→ボルシア・ドルトムント→VfBシュトゥットガルト→レバンテ→名古屋グランパス→)
誕生日:1988年8月22日
身長/体重:193cm / 79kg
代表歴:オーストラリア代表(2013-2022)
ランゲラックのクラブでのキャリア
- 2018年:名古屋グランパスへ移籍し、すぐに正GKの座を確保。J1残留争いで好セーブを連発し、チームのJ1残留に貢献。
- 2019年:楢崎が長年背負っていた背番号1を継承。
- 2020年:ルヴァンカップ決勝に進出し、準優勝に貢献。
- 2021年:823分間の無失点記録、リーグ記録のクリーンシート21試合など記録づくめのシーズン。ルヴァンカップ優勝も果たし、クラブにタイトルをもたらし、ベスト11にも選出!
- 2023年:グランパス所属の外国籍選手として最多出場記録(185試合)を更新。
- 2024年:ルヴァンカップ優勝。余談だが、PKストップだけでなく、自らPKキッカーとしても貢献。シーズン終了後にメルボルン・ビクトリーFCへ完全移籍を決断。
ランゲラックの有名なセーブ
- 2024年ルヴァンカップ準決勝のPK戦
- PKを2本ストップしただけでなく、2人目のキッカーとして落ち着いてゴールも決める!
- 2021年J1リーグでのヘディングストップ
- ヴィッセル神戸の流れるような攻撃からの、武藤のヘディングを見事にセーブ!
- 2022年Jリーグでチームの勝ち点をもたらすスーパーセーブ!
- 至近距離からのシュートを信じられないような反応でセーブ!
シュミット・ダニエル(2025年~)
名前:シュミット・ダニエル(Daniel Schmidt)
国籍:日本・アメリカ合衆国
所属チーム:名古屋グランパス(ベガルタ仙台→ロアッソ熊本(loan)→松本山雅FC→ベガルタ仙台→シント=トロイデンVV→ KAAヘント→)
誕生日:1992年2月3日
身長/体重:197cm / 88kg
代表歴:日本代表(2018年~)
ベガルタ仙台時代にJ1リーグでの経験を積み、その後ベルギーリーグで海外挑戦を経験。日本代表としても活躍し、2022年ワールドカップメンバーに選出されました。
ベルギーのシント=トロイデンでは4シーズンに渡り正GKとして活躍していましたが、2023年にリーグ・アン、FCメスに移籍直前まで近づきましたが直前で破談に。しかしチームは既に鈴木彩艶を獲得していたため、出番がなく同年12月にKAAヘントに移籍。しかしここでも出番がない時期が続いていました。
そして、2025年Jリーグのシーズン開幕に合わせて名古屋に移籍!
正GKとしての活躍が期待されましたが、シーズン開幕前に右膝内側半月板損傷の大けがを負ってしまいました。。
しかし順調に回復し、2025年3月29日の横浜FC戦で久々のJ1リーグ復帰戦!無敗で下位に沈むチームを初勝利に導きました!これからの期待が期待されます。
まとめ
名古屋グランパスの歴代ゴールキーパーを振り返り、紹介しました。
- 伊藤裕二(1992年~1999年)
- ハーフナー・ディド(1992年~1994年)
- 楢﨑正剛(1995年~2018年)
- ミッチェル・ランゲラック(2018年~2024年)
- シュミット・ダニエル(2025年~)
今後も名古屋グランパスの守護神たちがどのような活躍を見せるのか、引き続き注目していきましょう。