「壁何枚!?」
ゴール前で相手のフリーキックのピンチのとき、味方選手にキレ気味に聞かれます。そう言われてもゴールキーパーを始めて日の浅い方にとっては、よくわからないですよね。しかし、フリーキックのときの壁の位置や枚数の指示はゴールキーパーの役目です。
そこで本記事では、初心者向けに味方のゴール前でFKを与えてしまったピンチのときの壁の作り方を解説します。フリーキックの守り方のセオリーを学び、絶体絶命のピンチであるFKにおいて、失点を少しでも減らせる手助けができればなと思っています。
なぜフリーキックで壁をつくるのか?
フリーキックで壁を作るのは、相手のシュートをブロックするためです。
ゴール前に相手にフリーキックを与えてしまうと、相手がゴールのすぐ近くから直接ゴールにシュートを蹴りこめる大きなピンチとなります。
ゴールの大きさは、7.32m×2.44m。ゴールキーパーが一人でカバーするのには広すぎます。そこで味方選手を壁として立てることにより、ゴールキーパーがカバーすべき範囲を狭めることにより、失点の確率を少しでも少なくすることが目的です。
フリーキックの壁の基本的な考え方
壁の基本的な考え方
ニアサイドを壁に任せ、ファーサイドをキーパーが守る
これがフリーキックにおける壁づくりのセオリーです。
フリーキックからゴールへ近い半分、つまりニアサイドを壁に守ってもらいます。壁はできるだけボールに近い位置に立った方がシュートをブロックできる可能性が高くなります。ただし、ルール上9.15mは離れなくてはいけませんので、審判の指示に従う必要があります。
ニアサイドへ直接くるシュートは壁でブロックされることを期待します。ゴールキーパーはゴールの反対側であるファーサイドにきたシュートに備えます。
ニアサイドは壁に任せるといっても、壁の上を超えてくるような浮き球のシュートに関してもゴールキーパーが反応する必要があります。
図の例では、ゴールの点線の範囲を守ってもらえるように6枚の味方を壁として配置している例になります。
- 壁の枚数
- 壁の位置
の2つを指示して壁を作るのはゴールキーパーの役割です。
フリーキックにおける壁の枚数の目安
まずゴールキーパーは壁の枚数を決定し、指示します。壁の枚数の目安は、おおよそ図のような感じです。
ゴールに近ければ近いほど、枚数は多くなります。また、フィールド中央付近に近いほど、ゴールへの角度が大きいので、やはり枚数は多くなります。あくまで目安ですがイメージしておいてください。
壁の位置の決め方
壁の枚数の次は、壁の位置を指示して決めていきます。
- まずニアサイドのゴールポストの前に立って指示を出します。
- 次に、壁に入る選手のうち、壁の基準となる選手、つまり最もニアサイドに入る選手の位置を決めていきます。具体的には、ニアポストとボールの直線上にくるよう位置を指示します。
- フィールドの中央付近で、壁を5、6枚配置しているようなときは、ニアポストとボールの直線上よりも1人分ニア側にはみだすように指示します。図の例は、ニアポストとボールの直線を表すオレンジ色の点線に対し、1人だけ壁が左にはみ出していますよね。
- 最もニアサイドに入る選手を基準として、必要な壁の枚数横に壁となる選手を並べます。人数が足りない場合には具体的な名前で壁に入るように指示します。
これらの一連の動きは、ゴールキーパーだけでなくフィールドプレーヤーが全員把握しておく必要がありますので、練習で訓練しておく必要があります。壁の基準となる選手は、チームの決まり事としてあらかじめ決めておく必要があります。
壁に入る選手は、身長が大きい選手であることが望ましく、また基準となる選手はその中でも最も重要な最もニア側を構成する選手なので、最も高身長の選手が担うことが多いです。
【重要】フリーキックになり、壁の指示をする前にやること
ここまでで、壁の枚数の決め方、壁の位置の決め方について理解しました。しかし、相手のフリーキックになったときに最初にやることは壁の指示ではありません。
審判の笛によりファウルを取られると、一見試合が止まったように思うかも知れません。しかし、その状態では相手は審判のリスタートの笛を待たずしてプレーを再開することができてしまいます。つまり、いきなり指示を出すべくゴールキーパーがニアポストに移動したり、壁の指示に集中していると、その間にリスタートされボールをゴールに蹴りこまれてしまうかも知れないのです。
そこでフリーキックのときにまず最初にやること。
重要
味方に指示を出してボールの真ん前に立たせ、リスタートされるのを防ぐ
とても大切です。時期に審判が一度試合を止める笛を再度吹いてくれるはずですので、そこから壁の指示を開始しましょう。
フリーキックで壁を作るときのコツ3つ
壁の間はあけない。壁にボールをよけさせない。
壁を作る意味は、ニアサイドは壁に任せられ、ゴールキーパーはファーサイドの守備に比重をおけることでしたね。
もし、壁を構成する味方選手の間があいていると、その間をシュートがすり抜けてしまいます。
これでは壁を作る意味がありません。
壁を構成する味方は、間をボールが通らないようくっついて立ってもらうよう指示する必要がありません。
同様に、壁がボールをよけないようにしてもらう必要があります。ここはゴールキーパーが指示しようがありませんが。
昔の日本代表の試合で、中田英寿選手のフリーキックが決まったシーン。相手はオーストラリア。ゴール前なので5枚の壁を作っていますが、シュートの瞬間にブラインドのように壁が全員横を向いてしまい、見事に壁の間をすり抜けています。
ゴールキーパーは壁に任せていた場所からシュートが飛んできてしまうのでお手上げですよね。
壁はジャンプさせない
壁にジャンプをさせてはいけません。間をあけてはいけないのと同じ理由ですが、壁の下を通らせないようにしなくてはいけません。
プロの試合を見ていると、壁がジャンプしてボールをヘディングではじきだすようなシーンがありますよね。
これは結果的には良いプレーかも知れませんが基本的には避けるべきです。
なぜかというと、低いシュートが飛んできて、壁の下を通った場合、やはりゴールキーパーは反応できないからです。
壁がジャンプする代わりに、壁の後ろにもう一人寝転がらせるような奇策を取ることも最近はありますよね。
これであれば、壁の下を抜けるシュートを防ぐことができますが、次の「コツ」の理由によりこれもあまりおすすめできません。
キックの瞬間にボールの視界を確保する。
これがもっとも重要なコツです。
ゴールキーパーにとって、キックの瞬間にボールを見ることは、シュートが飛んでくる方向を見極めるうえでもとても重要です。
壁が邪魔になりシュートを打つ瞬間が見られないと、シュートに対する反応が遅れ、あっさりとゴールを奪われてしまいかねません。
多少構えを崩しても、ボールが見えないよりはマシなので、頑張って壁の隙間、味方選手の足の間から見ること。あるいは、わざと壁の間があくように壁に指示して、視界を確保するようにしてください。
くどいようですが、たとえ少しポジションがズレたとしても、シュートの瞬間を見ることが大事です。
ただし、相手選手もあの手この手でゴールキーパーの視界を邪魔しようと対策を打ってきます。
味方で構成するはずの壁の中に、相手選手が紛れ込んでいるときがありますよね。
Embed from Getty Imagesあれは、壁の間に隙間をあけたり、あえてボールのキーパーの間に立ってゴールキーパーにシュートの瞬間を見えないようにする狙いがあります。
まとめ
サッカーのフリーキックにおけるフリーキックの守り方、壁の作り方について解説しました。
- ニアサイドを壁に任せ、ファーサイドをキーパーが守る
- 壁の枚数、壁の位置はゴールキーパーが指示を出す
- シュートの習慣にボールを見られるようしっかりと視界を確保しよう!
練習や試合の前のこれらのコツを思い出して、フリーキックでの失点を少しでも減らせるように頑張っていきましょう!