PR GKのコツ

ゴールキーパーの反応速度、反射神経を高めるには?練習方法や動体視力の鍛え方

シュートへの反応速度を高めたい。

ゴールキーパーをやっていたら誰もが一度は思ったことがある悩みではないでしょうか。おそらくこの記事に興味を持ってくださっている方はこういう苦い経験があるでしょう。

  • 至近距離からのシュートが手元をかすって決められてしまった
  • シュートが目の前でディフェンダーにあたってコースが変わって決められてしまった

いずれもノーチャンスのシュートだったかも知れません。それでもゴールキーパーという生物は失点について責任を感じてしまいます。なんとかとめられなかったか?と自分を責めます。

「もっと反射神経を鍛えないと。。」

しかし、これらのシュートを止めるためには反射神経を鍛えるだけでは十分ではありません。

以下の3つの能力を鍛える必要があります。

  • 予測能力
  • 動体視力
  • 運動神経

本記事では、反応速度を高め、至近距離からのシュートや途中でコースが変わるようなシュートを止めるためにはどのような能力が必要か、そしてどのように鍛えるかについて解説します。

反応速度を高めるために必要なのは、予測能力・動体視力・運動神経

止めるのが困難な至近距離からのシュートを止めるのに必要なのは反射神経だけではありません。

  • 予測能力により、シュートが飛んでくる可能性がある場所を予測し、準備する場所を限定
  • 実際にシュートが打たれたら、動体視力によりシュートが飛んでくる場所を把握
  • あとは飛んでくる場所に対してゴールキーパー自身の体を正確に持っていく。これに必要な能力が運動神経です。

ひとつひとつ解説していきますね。

予測能力でシュートが飛んでくるコースを限定

ゴールキーパーがシュートを止めるにあたり、飛んでくるコースについてあらゆる可能性を想定しておく必要があります。

その上で、想定されるコースの中で、最も可能性の高いいくつかのコースについて心と体の準備をしておく必要があります。全てのコースに備えるのは不可能。飛んでくる最も可能性の高いコースに備え、構えることになります。

例えば、シュートコースを限定する際に考慮すべき要素には以下のようなものがあります。

  • シューターの体の向き、角度、体勢
  • ボールの動き
  • 自分(キーパー)からの距離
  • シューター以外の味方や敵の位置

シューターの体勢が前かがみで、かつキーパーとシューターの位置が近ければ、シュートが頭上を飛んでくる可能性はかなり低いですよね。そうであれば、ゴールキーパーは股を抜かれないように両足を配置し、更には両手も低めに構、低めのシュートに対して構えることになります。

動画はリバプールのゴールキーパー練習の動画です。

フィールドプレーヤーを交えて、実践形式に近いトレーニングを実施していますね。こういう練習一つ一つ、ただこなすだけではだめです。

「こういうシーンでは、シュートがこのコースに飛んでくるはずだから、こう構えよう」

想定が外れたら、今まで想定していなかった可能性を経験として一つ増やしたことなります。その結果、次の同様のシーンに出逢ったときには、止められる可能性が高くなります。こうやって練習や試合で経験値を高めていけるゴールキーパーと、ただ漠然と、本能のまま止めようとするゴールキーパーの間では、将来的に大きな差が出てきます。

例えば、このシーンではボールが浮いていて、かつシューターの状態もまっすぐです。

シュートはゴロと浮き球であれば、どちらの可能性が高いでしょうか?浮いた球が飛んできそうですよね。なのでゴールキーパーのアリソンも上体を高めに構えています。

このシーンではどうでしょうか。

静止がだとわかりづらいですが、動画を見るとボールはゴールに向かって動いています。またゴールキーパーから見て左側にはディフェンスも対応してくれています。

この状況ではボールはゴロになる可能性が高く、左側よりも右側にシュートが飛んでくる可能性が高いですよね。アリソンも上の画像に比べると上体が低め。若干右寄りの構になっています。

ゴールキーパーは変わりゆく状況の中で、常に頭を働かせ、どこにシュートが飛んでくる可能性が高いのか予想し準備し続けなければなりません。

イレギュラーするシュートを予想

シュートの中でも反応するのが難しいのが、シュートが途中で他の選手らにあたってコースが変わる場合ですよね。

ゴールキーパーは、シュートを打たれる際にボールに一番注目をする必要がありますが、同時にシュートコースに入る可能性があるものについても視野に収めておく必要があります。

こういうシュートと障害物を同時に視野に収め、イレギュラーを予測する力についても、トレーニングによってある程度鍛えることができます。

動画はイングランド代表のキーパー練習の動画です。

単純なシュート練習だけではなく、ダミー人形やポールを立てて、イレギュラーとなる可能性を考慮に入れながらシュートに対応するトレーニングを実施しています。

動画で利用されているのは、以下のようなダミー人形やスラローム用のポールです。

Amazonで見る
Amazonで見る

イレギュラーなシュートへの対応という意味では以下のようなボールも売っています。シュートのときに、常にイレギューラーする可能性を頭においておくという意味でのトレーニングにはなると思います。しかし、個人的には、効果は限定的かなと思っています。

Amazonで見る

動体視力によりシュートが飛んでくる場所を把握

続いて反応速度を上げるという意味で大事なのが動体視力です。

動体視力とは、ボールの軌跡や回転のように動く物体を見極める力になります。眼科検診で測定する視力とは違った力になりますね。

シュートストップというのは動いているボールを止めることですから、動体視力はとても大切な能力です

事実、世界のトップクラスのゴールキーパーも動体視力を鍛えるための様々なトレーニングを実施しています。

レアル・マドリードやガンバ大阪サッカーボール以外を利用したトレーニングで動体視力を鍛える

例えば、世界最高のクラブの一つ、レアル・マドリードでも動体視力のトレーニングを重視しています。

サッカーボールのシュートを止めたあとに、コーチがミニボールを投げ、それをゴールキーパーが片手でキャッチするトレーニングを実施していますね。

実施するとしたら、小学生が野球で使うゴムボールが手ごろでいいのではないでしょうか。

Amazonで見る

ガンバ大阪でもユニークなトレーニングを実施していました。

なんとコーチがテニスボールをラケットで打ったものをゴールキーパー陣がキャッチする。

レアルマドリードのボールや、ガンバ大阪のテニスボールにしても、サッカーボールよりも認識しづらい、小さなボールを止める練習をすることで、動体視力を鍛えています。

スイス代表、ベガルタ仙台ではVisionupのような専用器具の利用も

動体視力を鍛えるための専用の器具も存在します。

EURO2024の期間中に、スイス代表のGK陣が、Visionup(ビジョンナップ)というサングラスのような器具を練習に導入しているという記事がありました。世界的盟主のヤン・ゾマー選手も使用している写真が掲載されています。

日本製の特殊メガネで反射神経アップ!スイス代表GK、イングランド戦へ向けた練習が話題に

また、ベガルタ仙台でもVisionup(ビジョンナップ)というサングラスのような器具を練習に導入しているという記事が、少し古いですがありました。

このVIsionupというのは、レンズの部分に特殊な液晶パネルが入っていて、スイッチを入れると視界が遮られたり見えたりするのです。1秒間に1回~150回、視覚を断続的に遮断されるので、資格がコマ送りのようになります。

そんな状態で簡単なトレーニングを実施することで、動体視力をはじめとした見る力を鍛えることができるようです。Jリーグのトップクラブでも導入しているということで、説得力がありますよね。

値段もそこそこしますが、少しでも上を目指すゴールキーパーは試してみたくなりますよね。

Amazonで見る

シュートを止める動作の要は運動神経

ここまでは予測する力、動体視力について書いてきました。

予測する力によって、飛んでくるシュートコースを絞り込む。

鍛えた動体視力を活かして実際に飛んできたシュートコースを見極める。

そして、最後は飛んできたシュートに対して体のどこかを差し出し、シュートがゴールに入ってしまうのを防ぎます。これに必要な力が運動神経です。

運動神経というのは、脳が体に対して「この位置に動かせ!」と指令を出す経路のことです。運動神経が良い、というのは「自分が思ったとおりに体を動かせる」能力が高いということです。

反射神経ではないんですね。

反射神経というのは、危険刺激に対して脳を通さず体に指令を出すのが反射神経です。シュートストップで発揮されることもあるかも知れませんが、効果的に活用することは難しい。

運動神経というと、天性的なもののイメージがありますよね。しかしこれも鍛えられます。思った通りに体を動かしてシュートストップする力を鍛える方法。それは日々の練習そのものです。

レノファ山口のキーパー練習

その中でも、反応速度の向上の部分を重点的に鍛えるのに特化した練習をいくつか紹介します。

レノファ山口のキーパー練習映像を公開してくださっています。その中の練習の1つ。

ゴールキーパーは後ろ向きで立つところからスタート。それに対し、シュート性のボールを投げる役が2名。

ボールを投げる役のうち1名が、ゴールキーパーがコラプシングできる位置くらいにボールを叩きつけます。もう一人指令役の人が、合図をした瞬間に、ゴールキーパーは振り返り、即座にボールを掻き出します。合図をした瞬間には既にボールは投げられています。

これくらいのサイズの組み立て式のゴール、練習用にあるといいですよね。

Amazonで見る

PSGのケイロル・ナバスのキーパー練習

フランスのリーグ・アン、パリサンジェルマンに所属するケイロル・ナバスのゴールキーパートレーニングの動画が公開されていました。

この動画にはゴールキーパーに必要な運動神経を鍛えるためのトレーニングのアイディアの宝庫です!

シュートを止める際に障害となるような様々な動きを入れることで、全運動神経が活性化される練習ばかりです。

まとめ

あらためまして、ゴールキーパーがシュートストップにおいて、反応速度を上げるために必要な能力は以下の3つでした。

  • 予測能力
  • 動体視力
  • 運動神経

本記事ではそれぞれの能力がシュートストップになぜ必要なのか、そのトレーニング方法を交えて紹介しました。

なんだ結局練習するしかないのかとがっかりした方もいるかも知れません。

しかし、残念ながらその通りで、日々の練習の中で、いかにシュートストップできる確率を0.1%でもあげていけるか。それこそが反応速度を上げるための唯一の方法と言えます。

-GKのコツ