本記事では、サッカーのゴールキーパーにおけるポジショニングのコツを、解説していきます!
ポジショニングとは、ゴールキーパーの【立ち位置】のことです。ポジショニングと一口ににいっても以下の3つのポジショニングがあります。
- シュートに対するポジショニング
- クロスボールに対するポジショニング
- DFラインの裏をケアするポジショニング
本記事は、そのうち「シュートに対するポジショニング」について解説していきます。
結論:ポジショニングのポイントは半円型の動き
いきなりですが、シュート対するポジションを考えるときには、以下の半円をイメージして練習や試合に臨んでください。
シュートに対するポジショニングを考えると、「ゴールライン上の真ん中あたりに立つのかな?」とイメージすることが多いかも知れません。しかし実際にそこにポジションを取ることは滅多にありません。PKのときくらいでしょうか。
シュートに対する準備をするときには、シュートが打たれるときのボールの位置に合わせて、上記の半円上を移動するイメージになるというのをまず覚えてください。
ゴールキーパーのポジショニングの基本!
なぜポジショニングは重要なのか?
正しいポジショニングは、シュートストップの能力よりも大切といっても過言ではありません。では、なぜゴールキーパーにとってポジショニングは重要なのでしょうか。
良くないポジションでシュートを受ける場合を考えます。以下の図を見てみましょう。
シュートを打つ側の気持ちになってみると、ゴールキーパーが良くないポジショニングで構えていると、シュートコースの選択肢が増え、ゴールをはるかに入れやすくなることがわかると思います。
ゴールの大きさは7.32m×2.44m、子供用でも5.0m×2.1mです。例え世界のトップレベルのシュートストップ能力を持つゴールキーパーでも、その全てをカバーしきることは不可能です。
このように、良いポジションをとってまず相手のシュートコースの選択肢を狭めることがとても大切なのです。
シュートに対する良いポジションの取り方のセオリー
シュートが打たれるときのボールの位置に合わせて、上記の半円上を移動するということでしたが、具体的には半円上をどのようにポジションを取ればよいのでしょうか。セオリーは以下のものです。
このような感じです。
ここにポジションを取ることにより、シュートを打つ人からみて、左右のどちらにも均等にシュートコースが空いているように見えるため、狙いを絞りにくくなります。
逆に、ゴールキーパーがどちらかに寄っていると、空いている方を狙われてしまいます。
左右均等が良いのはわかったが、ゴールライン上ではだめなのか?
相手からみて、ゴールの真ん中に立つことが重要なのはおわかりいただけたかと思います。しかし、なぜ半円の動きをしなければいけないのか?なぜゴールライン上ではいけないのか、そんな疑問をいただいている方もいるかも知れません。
それは、シュートを打つ人に近づけは近づくほど、シュートコースを狭めることができるからです。
では近づけるだけ近づいた方が良いのかというと、そう単純ではありません。
相手に近づくほど、至近距離からのシュートになるので、シュートに反応しづらくなります。
また、シュートを打つ相手が一人であれば良いのですが、相手が複数いる場合に、一人に近づきすぎていると、パスを出されたときに対応できなくなってしまいます。
そのバランスをとれるポジションが、この半円なんです。
ここまでゴールキーパーのポジショニングの基礎を理解したところで、最後にイメージを膨らませるためにプロのゴールキーパーの映像を見てみましょう。ゴールキーパーのポジショニングに注目して素晴らしいセーブの数々を見てみてください!
ボールが左右に動く度に、ゴールキーパーがあの半円上を移動し、ポジションを修正しているのがわかると思います。
まずはここまでのことを頭に入れて、試合や練習に臨み、シュートを止めまくってください!
ゴールキーパーのポジショニングのコツ7選!(応用編)
ポジショニングの基本を理解し、体現できるようになってきたら次のステップです。
ここからはゴールキーパーのポジショニングにおけるコツを6つ紹介します。
体の向きを相手に対して正面を向く vs 体の向きは常のゴールを背に向ける
「体の向き」もポジショニングの技術の一つです。体の向きはボールに対し、正対する必要があります。
相手に対して正面を向くことで、シュートを打つ相手に対してシュートコースをわずかに狭く見せることができます。逆にポジションは完璧だったとしても、背がゴールに向いていて、シュートを打つ相手に対して傾いていると、シュートコースはわずかに広くなります。
見ての通り、ほんのわずかな差です。
しかし、最後の勝負を決めてくるのは、このほんのわずかな差です。指一本シュートに触れられるか、触れられないか、シュートを打つ人に一瞬でもプレッシャーを与えられるのか、与えられないのか。このわずかな差にこだわる者が最終的に勝利を手にするのです。
シュートに対して、体の向きが正面になるように、微調整をすることを意識してみてください。
ポジションはGK次第で修正 vs 半円は全GKの絶対的真理
基本編で学んだ半円のポジションですが、全てのゴールキーパーが全く同じポジションを取るのが正しいかというと、もちろんそうではありません。ビギナーのGKの方は、導入として半円の動きを体に叩き込んで欲しいですが、それ以降は自身の能力や身体的特徴に合わせて何が最適かを探していく必要があります。
特に前後のポジション(つまり相手に近いのか、遠いのか)について何が最適かは、ゴールキーパーの身長、反応速度、セービング能力、あるいは相手のシュート力によって変わります。それに加え、相手がシュートを打つ体制によっても状況が刻一刻と変わるのでさらに難しいです。
相手に近い位置にポジションを取った場合には、シュートコースを狭めることができる一方で、シュートに反応する時間は短くなるのと、シュートで頭上を抜かれる可能性が高くなります。
逆に相手から遠い位置にポジションを取った場合、シュートコースは十分に狭められない一方で、シュートに反応する時間が多くとれるのと、シュートで頭上を抜かれる可能性は低くなります。
例えば、小学生低学年であれば、まだゴールキーパーのトレーニングを十分にしている状況ではないので、シュートに対しきっちりダイビングでストップするというよりは、シュートコースに入って体に当てに行くよな守り方が多いかも知れません。シュートを打つ側も、頭上を越えるようなシュートをが打てない選手もまだまだ多いと思いますので、セオリーよりも相手に近いポジションを取っても良いのではないかと思います。
半円のポジションをまずはベースとしたうえで、自分が最もシュートを止める可能性が高いポジションを練習や試合を通じて模索し続ける必要があります。
ディフェンダーがコースを切っている場合は切れてない側にポジションを微調整 vs ディフェンダーの存在はポジショニングと関係ない
ゴールキーパーは一人でゴールを守るわけではありません。敵もいれば味方もいます。味方であるディフェンダーの位置に合わせ、ポジションも微調整する必要があります。
具体的にはディフェンダーがシュートコースを狭めてくれている場合には、その逆側に比重を置いて守ることが可能になります。
例えば図のようにディフェンダーが左側のコースをブロックしてくれている場合、左側にシュートが飛んでくる可能性は通常よりも低くなります。
その結果、ゴールキーパーは右側を守ることに比重を置くことができます。ポジションもわずかに右側に寄っても良いかも知れませんが、そこまでいかないまでも、右足に少しだけ重心をおくようにし、右側へ来る可能性の高いシュートを止められる可能性を高めましょう。
これによりトータルでシュートを止められる可能性がわずかに上がります。
また、この状態を意図的に作り出すために、ゴールキーパーが声を出してDFに指示を出すことも大切です。ニアポスト側のディフェンダーが、ファーポスト側のゴールキーパーが守るというのがセオリーです。が、セオリーはあくまでセオリーですので、その場その場に応じて、一番シュートを止まる確率が最も高くなる位置にディフェンダーを配置することが大切です。
相手の利き足に合わせて体の向きを微妙に変える vs 相手の特徴はポジショニングと関係ない
味方の位置に合わせてポジションを修正することも大切ですが、相手の特徴を踏まえた上でポジションを少し修正することも重要です。
最も重要なのが相手が右利きなのか左利きなのか。シュートが右足で打たれるのか、左足で打たれるのか、それによってシュートが飛んでくるコースがわずかに違いますよね。それに合わせてわずかにポジションや体の向きを変える必要があります。
あるいは相手がパワーヒッターなのか、それとも丁寧にコースを狙ってくる選手なのか。相手がパワーヒッターであれば、ポジションは半円の目安よりも少し前目に取るのでも良いかも知れません。逆にもしコースを狙ってくる可能性が高いのであれば、半円の目安より、少しだけ後ろ目に構える方が、シュートに反応して手が届くための時間を稼ぐことができます。
このように相手の特徴を前半の10分くらいで見極めておき、それに合わせてポジションを微修正することが大切です。
ヘディングシュートに対してはゴールライン上で構える vs ヘディングシュートに対しても半円を死守!
シュートに対しては半円を死守して欲しいですが、ヘディングシュートの場合は例外です。
ヘディングシュートに備える場合には、必ずゴールライン上までポジションを下げて準備をしましょう。
なぜかというと、ヘディングシュートの場合は、足でのシュートに比べて、頭上を越される可能性が高いからです。
ポジションが相手に近くなると「シュートコースを狭めることができる一方で、シュートに反応する時間は短くなるのと、シュートで頭上を抜かれる可能性が高くなります。」でしたよね。
当たり前ですが、ヘティングシュートは頭から放たれるシュートですので、シュートコースは当然頭上に来る可能性が高くなります。
さらに、ヘディングシュートは、足でのシュートのように振り足の向きなどで、飛んでくる起動を予測できないため、圧倒的にシュートに対する反応がしづらくなります。だから、テレビでみると、「え、こんなのが入っちゃうの?」といった緩いシュートが意外にも決まってしまうのですよね。
これに対応するために、ヘティングシュートに対しては、ゴールライン上で構えるようにしましょう。
ポジションの確認は、ペナルティスポットや相手ゴールなどから把握する vs ポジションの確認は毎回後ろを振り返って確認
ポジショニングのセオリーは「ゴールの中心とボールの直線上にポジションを取る」というものでした。
自分が適切なポジションにいるのかを目で確認するには、「ゴールの中心」と「ボール」の位置を目視する必要がありますが、試合となると、「ゴールの中心」を見るために後ろを振り返っている間にシュートを打たれてしまい、反応が大きく遅れる可能性がありますよね。
そのためゴールキーパーは、自分が適切なポジションにいるのか、後ろを振り返らずに確認する必要があります。
その際に参考になるのが、グラウンドに引かれたラインです。
前後の位置を確認するのは、ゴールラインが参考になります。
また、ゴールの中心に対して自分が左右どの位置にいるのかを把握するのには、ペナルティースポット(PKを蹴る位置を示す点)が参考になります。あるいは、相手ゴール、センターサークルなどを見ながらグラウンドの中心を把握を見て把握することもできます。
最初のうちは、後ろを振り返り、自分が「ゴールの中心とボールの直線上にポジション」にポジションを取れているのか確認してもOKです。しかし、練習や試合を重ね、徐々に後ろを振り返らずとも自分の適切なポジションを把握できるようになることが大切です。
その際の道しるべとなるのが、ペナルティスポットや相手のゴールになります。
まとめ
本記事はシュートに対するポジショニングについて、基本編、応用編にわけて解説しました。
基本編でもっとも大切なのは「シュートが打たれるときのボールの位置に合わせて、上記の半円上を移動する」ことでした。ゴールの中心とボールの直線上にポジションを取るというセオリーを頭にれながら、常に動き続けている必要があります。
応用編で紹介したポジショニングのコツは以下の6つでしたね。
- 体の向きを相手に対して正面を向く
- ポジションはGK次第で修正
- ディフェンダーがコースを切っている場合は切れてない側にポジションを微調整
- 相手の利き足に合わせて体の向きを微妙に変える
- ヘディングシュートに対してはゴールライン上で構える
- ポジションの確認は、ペナルティスポットや相手ゴールなどから把握する
上記を試合前、練習前にスマホで確認して、頭に入れながら最高のパフォーマンスを発揮して欲しいです!