サッカーでゴールキーパーが退場したらどうなるのか!?わかりそうでわからない素朴な疑問を解決します!
本記事でわかること
- ゴールキーパーが退場したらどうなるか?特にベンチに控えがいないときは?
- 過去にフィールドプレイヤーがGKを務めた例は?
- ゴールキーパーが退場になるのはどういうファウルを犯したときか?
- DOGSO(ドグソ)ってよく聞くけどなに?
ゴールキーパーが退場したらどうなるか?
ゴールキーパーが退場した場合について考えていきます!
ゴールキーパーが退場したらフィールドプレイヤーに代えて控え選手を入れることになる
ゴールキーパーがレッドカードをもらい退場した場合、フィールドプレイヤーと控えのゴールキーパーを交代させることになります。
サッカーの試合で、選手がレッドカードなどで退場が命じられた場合、代わりの選手を補充することができません。もともと11人対11人の状況から一人退場になると、11人対10人で最後まで試合を続けることになります。
では退場になったのがゴールキーパーだった場合はどうでしょうか。フィールドプレイヤーが退場になったときと同様に、代わりに選手を入れることはできないため、11人対10人で試合をしなければいけないことは変わりません。
一方で、「試合は、11人以下の競技者からなる2つのチームによって行われる。そのうち1人は、ゴールキーパーである。」と定められています。つまり、チームに1人はゴールキーパーである必要があります。
そのため、ゴールキーパーが退場になった場合には、フィールドプレイヤーに代えて、控えのゴールキーパーを投入することになります。
既にゴールキーパーが交代済みの場合は?
では、既になんらかの理由で、ベンチにゴールキーパーがいなかった場合はどうでしょうか。たとえば、負傷によりゴールキーパーを交代済の場合などが考えられますね。
その場合はフィールドプレイヤーの誰かがゴールキーパーを務めることになります。
ただし「それぞれのゴールキーパーは、他の競技者、審判員と区別できる色の服装を着用しなければならない。」と定められているため、フィールドプレイヤーはゴールキーパーのユニフォームに着替える必要があります。
公式戦でなければ、ビブスなどで代替する場合もあるでしょう。
過去にフィールドプレイヤーがゴールキーパーを務めた例は?
プロの試合でもフィールドプレイヤーがゴールキーパーを務めたケースは多々あります。どんなケースがあるか紹介していきます。
オリヴィエ・ジルー(当時所属ACミラン)がGK顔負けの飛び出しで決定機を防ぐ!
2023年のセリエAで、後半アディショナルタイムで退場したマイク・メニャンに代わり、ゴールキーパーを務めたのがフランス代表FWのジルーでした。1-0の状況で、相手ジェノアの猛攻を防ぎ切り、勝ち点3を死守しました。ゴールキーパー顔負けの勇敢の飛び出しもありました。
コスミン・モツィ(当時所属ルドゴレツ・ラズグラド)はCL本選出場を決めるPKストップ!
ルーマニア代表のセンターバックであるコスミン・モツィ。
2014年のUEFAチャンピオンズリーグのプレーオフ、FCステアウア・ブカレスト戦で、延長戦後半終了間際にGKのヴラディスラフ・ストヤノフが退場になり、キーパーを務めました。
試合はPK戦になりますが、2本のキックをストップ!まさかの活躍でクラブ初の本戦進出に貢献しました!!
ジョン・テリー(当時所属チェルシー):チェフに代わりゴールを守ったキャプテン
2006年10月14日に行われたプレミアリーグレディング戦ではチェフ、クディチーニが立て続けに負傷退場。試合終了間際にはキャプテン、ジョン・テリーがゴールを守りました。大きな守備機会もありませんでしたが、淡々とプレーするところはさすがでした。
長谷部誠(当時所属ヴォルフスブルク)が初めて日本人GKとして欧州4大リーグでプレー!?
日本人でもフィールドプレイヤーとしてゴールキーパーを務めた選手がいます。2011年にブンデスリーガで後半36分のゴールキーパーが退場。残り時間にゴールを託されたのが日本代表でも長年キャプテンを務め、ブンデスリーガで長く活躍した長谷部選手でした。
1-2の状況からダメ押しの3点目を失点したものの、終始落ち着きのあるプレーで、かつロングフィードでチャンスを演出しました。
当時のマガト監督は「私は長谷部を推した。あの日本人は非常に規律正しく、どんなポジションでもプレーできる」と絶大の信頼を寄せるコメントをしているが、さすがにゴールキーパーはね!
2024年には鈴木彩艶が日本人として初めて欧州4大リーグでプレーしたゴールキーパーと話題になりましたが、実は長谷部が最初でしたね笑
河野淳吾(当時所属横浜FC)が89分間もGKを務める!?
一方89分間もゴールキーパーを務めたGKもいます。
当時横浜FCの河野淳吾選手。2003年のJ2リーグの大宮アルディージャ戦で、先発の菅野選手が開始1分に退場!
本来であればフィールドプレイヤーに代えて控えGKを投入するところですが、当時GKは全員負傷しており、登録されているGKは菅野選手ただ一人だったため、代わりに河野選手が代役を務めることになりました。3失点して試合には敗れたものの、試合になっていること自体すごいです。
なお、河野選手はxx年にサッカー選手を引退し、現在は競輪の選手になっているとのことです。
https://www.oddspark.com/keirin/PlayerDetail.do?playerCd=014742
奈良竜樹(当時所属川崎フロンターレ)は攻守連発!
2018年のJ1リーグの川崎vs浦和。70分にチョン・ソンリョンが退場すると、DFの奈良がキーパーを務めることに。最初は自分なのかと動揺を隠しきれない様子でしたが、攻守を連発し見事に残り時間を完封しました。
フィールドプレイヤーがゴールキーパーを務めた例を紹介しました。
意外と活躍してしまうようなシーンもありましたが、やはりチームには大きな迷惑をかけることになるので、退場しないに越したことはありません。
それではゴールキーパーはどういうシーンで退場になってしまうのでしょうか?
ゴールキーパーがレッドカードをもらう反則とは?
選手が退場となるケースは競技規則で以下のように定められています。
- ハンドの反則を行い、相手チームの得点または決定的な得点の機会を阻止する(自分のペナルティーエリア内でゴールキーパーが手や腕でボールに触れた場合を除く)。
- フリーキックで罰せられる反則を行い、全体的にその反則を行った競技者のゴールに向かって動いている相手競技者の得点または決定的な得点の機会を阻止する(以下の「得点または決定的な得点の機会の阻止」に規定される警告の場合を除く)。
- 著しく不正なプレーを行う。
- 人をかむ、または人につばを吐く。
- 乱暴な行為を行う。
- 攻撃的な、侮辱的な、もしくは下品な発言をする、または行動をとる。
- 同じ試合の中で2つ目の警告を受ける。
- ビデオオペレーションルーム(VOR)に入る。
引用:https://www.jfa.jp/laws/soccer/2023_24/
この中で、最も多いのは2つ目の「決定的な得点機会の阻止」という反則でしょう。いわゆるDOGSO(ドグソ)と呼ばれる反則です。
それについて次に説明しますが、まずはそれ以外の反則について見ていきましょう。
決定的な得点機会の阻止(手)
ゴールに入りそうなボールをフィールドプレイヤーが手で止めてしまうようなケースです。「神の手」として見逃されるケースもありますね笑
GKはそもそもペナルティエリア内では手を使うことが許されているので、この反則をもらうことは少ないですが、ゴールキーパーがペナルティエリアの外に飛び出した状態で、シュートを止めたり、通ったら1点という決定的なパスを防いだりした場合には該当することになります。
著しく不正なプレー
相手の競技者を負傷させてしまうような危険プレーです。
例えば、スパイクがとがった足の裏で、相手の足首めがけて故意にスライディングタックルに行くようなケースですね。故意かどうか、厳密に判断するのはとても難しいので、該当するのかどうか、審判としても判断が非常に難しい反則になります。
人をかむ、つばを吐く
これは明確ですね。でも本当にそんなやついるのか?と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
それがいるんです。最も有名なのは元ウルグアイ代表のルイス・スアレス選手ではないでしょうか。
過去に何度も噛みつきで退場処分を受けています。しかも、動画で紹介されているうちの3つ目は2014年のワールドカップの大舞台での反則です。感情が高ぶったときにそういう行動に出てしまうのでしょうか。
乱暴な行為
ボールが関わっていないところでの行為も退場に相当する反則になり得ます。
相手を殴る、蹴るなどは当然ですし、ボールが関わっていないところで強く押すなども反則になります。これを利用して、ちょっと押されただけなのに大げさに倒れこみ、レッドカードを誘発させるような演技をするケースもあり、見ててあまり気持ちの良いものではありません。
また、これらの行為を行おうとすることも許されないので、殴りかかる振りをするなどの行為も許されません。
攻撃的・侮辱的・下品な発言、行動
こちらもわかりやすいですね。選手同士はもちろんですが、審判や相手ベンチ、観客席への暴言や悪質なジェスチャーをした場合は退場になります。悪質なジェスチャーとは、わかりやすいのは中指を立てるとかですね。
余談ですが、「下品な行動」と主審が判断してたまに退場になり話題になるが、トイレが我慢できず近くで用を足してしまい退場になるようなケース。
古い話ですが2009-10のチャンピオンズリーグでは、ドイツ代表のレーマン選手が退場になり話題になりました。他にも数年に1回くらいは同様のニュースがネタ的に取り扱われることがあります。
生理現象なので若干気の毒のような感じましますが。。
同じ試合の中で2つ目の警告を受ける
これはご存じの方が多いと思いますが、1試合に2度警告を受ける、つまりイエローカードを2枚もらうと退場になりますね。
ビデオオペレーションルーム(VOR)に入る
VORとはVARを担当する審判がいる部屋です。選手が判定に不満を持ち、VORに乗り込んでいくというのはさすがに考えにくいので、どちらかというと監督スタッフ向けのるーるでしょうか。
「決定的な得点機会の阻止」DOGSO(ドグソ)とはなにか?
DOGSOとは「Denying an Obvious Goal Scoring Opportunity」の頭文字をとった言葉で「決定的な得点機会の阻止」という意味です。ドグソと呼びます。インパクトがありますよね。ゴールキーパーが退場処分になるもっとも多いケースなのではないかと思います。ファウルによって、相手の決定的な得点機会を阻止した場合に退場になります。
退場はその後の試合の流れに大きな影響をもたらすため、VARの対象となっている試合も多いですし、そうでなくても審判の主観によって判断にバラつきが生じないよう、どのようなファイルがDOGSOの対象になるのか、基準がルールに記載されています。
それではDOGSOの4要件と言われる基準は以下の通りになります。
- 反則とゴールとの距離
- 全体的なプレーの方向
- ボールをキープできる、またはコントロールできる可能性
- 守備側競技者の位置と数
つまりこの4つが、そのファウルが「決定的な得点機会の阻止」と呼べるかどうかの基準ということですね。1つ1つ見ていきましょう。
反則とゴールとの距離
反則が起こった地点からゴールまでの距離が、得点機会阻止と呼べるほと近いか。
競技規則に具体的な距離は明記されていませんが、ペナルティエリア内、およびペナルティエリア付近になりますので、目安としてはゴールまで25m以内の距離と言われています。
全体的なプレーの方向
攻撃側の選手がゴールの方向を向いていたかどうか。つまり、攻撃側の選手が、ポストプレーなどゴールに背を向けた状態に対するファウルは得点機会の阻止とは判断されません。
ボールをキープできる、またはコントロールできる可能性
仮にそのファウルがされなかった場合に、攻撃側の選手がボールをキープできていたかどうか。ファウルをしなくても、トラップミスなどで得点機会にはつながっていなかったであろうときには該当しません。
守備側競技者の位置と数
他の守備選手がカバーできる状態だったかどうか。
仮にファウルしなかった場合は、カバーできるディフェンダーがおらず、ゴールキーパーと1対1になってしまう、あるいはゴールキーパーすらいないような状況かどうか。GK自身がファウルをした側の場合は、大抵このケースに該当するのではないでしょうか。
以上の4つの要件を満たしているようなファウルの場合は「決定的な得点機会の阻止」、つまりDOGSO(ドグソ)に該当し、ゴールキーパーにレッドカードが与えられることになります。
DOGSO(ドグソ)でゴールキーパーが退場になったシーンを動画で確認
J1リーグ2024の第7節では、実に3試合でゴールキーパーが退場になりました。そのシーンを振り返り、DOGSO(ドグソ)の4要件を確認していきましょう!
J1リーグ2024 第7節 川崎フロンターレ×FC町田ゼルビア
川崎と町田の試合では、後半25分谷選手がディフェンスラインの裏に抜け出した小林選手を倒してしまいました。
このプレーを4つの要件に照らし合わせてみてみましょう。
- 反則とゴールとの距離:ペナルティエリアのすぐ外であり、十分にゴールに近いと言えます。
- 全体的なプレーの方向:このシーンはわかりやすく、小林選手はディフェンスラインを抜け出して、まっすぐにゴールに向かっていますね。
- ボールをキープできる、またはコントロールできる可能性:小林選手は、GKの谷選手を左側に少し大きくボールをかわしていますが、十分にコントロールできており、倒されなければその次のプレーでシュートができていたのではないかと思います。
- 守備側競技者の位置と数:谷選手が出ているのでゴールは完全に無人の状態。ディフェンスがなんとか戻ってはいますが、小林選手を止めることができるまでは戻り切れていないでしょう。
以上より、谷選手のプレーはDOGSO(ドグソ)と判断され退場になっています。
J1リーグ2024 第7節 ヴィッセル神戸×横浜Fマリノス
ヤン・マテウス選手がペナ外でボールをトラップした瞬間に、ボールをクリアするべく飛び出してきた前川選手が完全に足をひっかけてしまい、退場になっています。
こちらもDOGSO(ドグソ)の4要件に従い見ていきましょう。
- 反則とゴールとの距離:ペナルティエリアのすぐ外であり、十分にゴールに近いと言えます。
- 全体的なプレーの方向:ヤン・マテウス選手はトラップの瞬間はゴールに対して横向きですが、ゴールを目指して走りこんできており、ゴールに向かったプレーといえます。
- ボールをキープできる、またはコントロールできる可能性:ファウルはヤン・マテウス選手がトラップした瞬間であり、ボールをコントロールできているといえます。このトラップが大きくズレていたり、触れていなかったら、コントロールできていないといえたかも知れません。
- 守備側競技者の位置と数:神戸のディフェンダーの人数としては十分に足りていますが、ヤン・マテウス選手に対してディフェンスにいける選手はいないように見えますね。
以上より、前川選手のプレーはDOGSO(ドグソ)と判断され退場になっています。
尚、この前川選手のプレーがペナルティエリアの中だったかどうかVAR判定が行われています。もしペナルティエリアの中だったとしたらどうなっていたのか。これは「三重罰」を緩和するルールに該当し、退場ではなく警告になっていた可能性が高いです。ペナルティエリア内なので横浜のPKにはなりますが、一発退場は免れます。
少し前のルールであれば、ペナルディエリア内での決定的な得点機会の阻止は、「PK」「退場」「出場停止」が与えられていました。これは「三重罰」と呼ばれ、罰として厳しすぎるのではないかということから緩和されました。
これはゴールキーパーがペナルティエリア内で得点機会阻止となるようなファウルを行っても退場にならない、というわけではもちろんなく、ボールにチャレンジした結果のファウルのみが対象で、故意のファウルと認められれば、退場になります。
これは次の例で見ていきましょう。
J1リーグ2024 第7節 サンフレッチェ広島×湘南ベルマーレ
ディフェンスラインの裏から抜け出してた大橋選手に対し、ソン・ボムグン選手が伸ばした腕でしっかけて倒す形になってしまい、退場になっています。
このプレーについても4つの要件と照らし合わせてみていきましょう。
- 反則とゴールとの距離:ペナルティエリア内であり、十分にゴールに近いと言えます。
- 全体的なプレーの方向:大橋選手は明確にゴールに向かっていますね。
- ボールをキープできる、またはコントロールできる可能性:大橋選手は、ボール倒された時点では触っていなそうですが、ソン・ボングン選手の手がかからなければ、あとはボールをゴールに押し込むだけだったような状況に見られます。
- 守備側競技者の位置と数:平塚のディフェンダは誰も間に合っておらず、ゴール前に押し込むだけの状況です。
以上より、ソン選手のプレーはDOGSO(ドグソ)と判断され退場になっています。
ペナルディエリア内のファウルになるため、「三重罰」を緩和するルールに該当するかどうか気になるところです。
浮いたボールがソン・ボングン選手を超えたあとに、右腕が大橋選手の体を捉えており、「ボールにチャレンジした結果」とはいいがたいという判断のようです。「PK」「退場」「出場停止」の「三重罰」が与えられたシーンになりました。
まとめ
- ゴールキーパーが退場したらどうなるか?特にベンチに控えがいないときは?
- ゴールキーパーが退場し、かつベンチに控えゴールキーパーがいない場合には、フィールドプレイヤーを下げて交代させる必要があります。
- 過去にフィールドプレイヤーがGKを務めた例は?
- フランス代表FWのジルー選手や元日本代表キャプテンの長谷部選手がいました。
- ゴールキーパーが退場になるのはどういうファウルを犯したときか?
- サッカーのルール上、レッドカードが提示されるような反則について復習しました。その中でも最も多いのがDOGSOに該当するような反則です。
- DOGSO(ドグソ)ってよく聞くけどなに?
- DOGSOとは、決定的な得点機会を阻止するようなファイルで、判断するための4つの基準がありました。
ゴールキーパーが退場になるとチームに迷惑がかかりますので、やはり退場にならないことが一番。退場になるようなケースを本記事でしっかりと復習しておいてもらえればと思います!