ウールの赤パーム、覚えていませんか?
「昔はウールシュポルトじゃなくて、ウールとかウールスポーツって呼んでたよな…」
そんな記憶がふとよみがえったあなたは、きっと90年代くらいからゴールキーパーをやってきた人だと思います。分厚くて重いけど、とにかく存在感があった赤パームのグローブ。雨の日は滑るし、乾くとガチガチになる。でも、あの頃のグローブには“物語”がありました。
この記事では、ウールシュポルトの歴代グローブを、1980年代から10年ごとにキーパーグローブの進化と名作モデルを振り返ります。キーパーグローブの歴史、昔のグローブの特徴、当時使っていた名GKたちのエピソードも交えながら紹介していきます。
1980年代|034と040、赤パームが生んだ“近代GKグローブの原型”
034誕生と「GK専門ブランド」への決定的転換
1980年代前後、uhlsport(当時は日本では「ウール」「ウールスポーツ」と呼ばれることが多かった)は、サッカー用品メーカーから“GK専門ブランド”へと明確に舵を切った時期でした。
その象徴が、今も語り継がれる名作──uhlsport 034です。
Uhlsport Model 034 (1982)
034は、
- フラットパーム(フラットカット)
- 天然ラテックスによる本格的なグリップ
- ベルクロ付きワイドストラップ
という構成で、現代のキーパーグローブの原型とも言える存在でした。
それまでのキーパーグローブといえば、軍手に滑り止めのゴムがついた程度のものや、
フェルト生地のようなものがパームに使用されていたような時代です。
Uhlsport Model 017 (1982)
赤パームというアイコン
とりわけ印象的だったのが、手のひら全面が赤いラテックスで覆われた「赤パーム」。
同じ赤パームのグローブである040を、1982年W杯でディノ・ゾフが着用し、イタリア代表を優勝に導いたことで、
「赤いパーム=世界最高峰GKの証」
というイメージが一気に定着します。
Uhlsport Model 040 (1982-1985)
ディノ・ゾフが1982年のワールドカップで使用したモデル。1986年頃に後継モデルが出るまで販売され続けた超ロングセラーモデル!
1990年代|APGの登場と「ハイテクGKグローブ」への転換期
1980年代に確立されたラテックスパームとフラットパーム構造を土台に、1990年代のウールシュポルト(当時は「ウール」「ウールスポーツ」と呼ばれることも多かった)は、性能面での明確な進化を打ち出していきます。
この時代の最大のトピックが、APG(Adhesive Power Grip)の登場です。
APG(Adhesive Power Grip)のインパクト
APGは、1980年代の034系グローブで培われたラテックス技術を発展させ、 「よりボールに吸いつく感覚」「キャッチ時の安心感」を明確に打ち出したパームフォームとして登場しました。
Uhlsport APG IV Model 0060 (1993)
当時はまだパーム名称が一般的に整理されておらず、 現在のように「◯◯GRIP」という体系が確立されていたわけではありません。 それでもAPGは、グリップ性能そのものを前面に押し出した最初期の取り組みとして、 ウールシュポルトの製品史において重要な意味を持っています。
ただ、このAPG、土のグラウンドとはすこぶる相性が悪いんですよね。。
現在のグローブのようにラテックスの性能というよりは、表面に塗られた特殊な滑り止めによるグリップ強化のため、
土のグラウンドでは数回使うと、すぐにグリップ力が弱まってしまい、残念な思いをした記憶があります。
ともかく、その厚みのあるラテックスと、衝撃吸収性を重視した設計は、 シュートスピードの高速化が進む1990年代のゲーム環境とも相性が良く、 「GKグローブは“守るためのギア”である」という認識を、より強く定着させていきました。
デザインと構造の進化
1990年代のウールシュポルト製グローブには、次のような特徴が見られるようになります。
- フラットパームを基本としながら、立体裁断を意識した指構造
- 厚みのあるラテックスによるクッション性重視の設計
- 手首をしっかり固定するワイドなベルクロストラップ
見た目はまだ「クラシック」ですが、 内部構造や思想は確実に“ハイテク化”へ向かっていた時代と言えるでしょう。
代表的な着用選手と時代背景
この時代にウールシュポルトのブランドイメージを大きく押し上げた存在が、 インテルで活躍したワルテル・ゼンガです。
Uhsport Walter Zenga Model 0071
1989年に世界最優秀GKと称される評価を受け、 セリエAという当時世界最高峰のリーグで、 uhlsportロゴ入りのグローブやウェアを着用する姿は、 「トップGKが選ぶブランド」という印象を強く残しました。
その証明として、本人の名前を冠したシグネチャモデルがつくられていました。
また、ブンデスリーガを中心に、 ドイツ国内の多くの正GKがウールシュポルト製グローブを使用しており、 信頼性と実績を着実に積み上げた10年でもあります。
Jリーグ開幕と、日本のGKたちの憧れ
1990年代を語るうえで欠かせないのが、1993年のJリーグ開幕です。
テレビ中継やスポーツ雑誌を通じて、 それまで限られた情報しか入ってこなかったプロGKの装備が、 一気に身近な存在になりました。
「このGKはどこのグローブを使っているのか」 「ロゴはウール?ロイシュ?」
そんな視点で試合を見ていたGK仲間が、 私以外にもいたのではないでしょうか。
Uhlsport Classics Dino Model 0040 (1993-1994)
1993年、Jリーグ開幕シーズンのファーストシリーズを制したのは鹿島アントラーズ!そのゴールを守るのは古川昌明選手でした。
古川選手が使用していたのが、0040シリーズの赤パームのグローブでした。
Jリーグ創世記のGKたちが着用していたグローブは、 まだ現在ほどモデル名が前面に出る時代ではありませんでしたが、 分厚いラテックス、しっかりしたストラップ、存在感のあるロゴは、 少年GKたちにとって強烈な憧れの対象でした。
現在のようにSNSや公式ギア情報が整備されていない時代、 試合映像を一時停止しながら 「たぶん、あれはウール(ウールスポーツ)だよな?」 と語り合った記憶がある方も少なくないはずです。
1990年代は、 ヨーロッパのトップGKに憧れながら、 同時にJリーグのGKを通じてギア文化が日本に根付いていった時代でもあります。
この流れがあったからこそ、 日本国内においても、ウールシュポルトの存在感が自然につながっていったと言えるでしょう。
川口能活と90年代前半のウールシュポルト
その象徴的な存在が、 横浜マリノスで頭角を現し、日本代表にも定着していった川口能活です。
Uhlsport Gore Tex Model 0076 (1991-1994)
高校選手権の優勝で一世を風靡した川口能活選手。ウールシュポルトのクラシックなキーパーグローブを着用する姿が印象的でした。
川口能活は1994年、横浜マリノスに加入。
当時の正GKは日本代表の守護神・松永成立。高卒ルーキーの川口はまず、その背中を追う立場からキャリアをスタートさせました。
1994年は、松永の出場停止に伴い公式戦で初めてベンチ入り。
そして転機が訪れたのが、2年目の1995年シーズン途中でした。
Uhlsport Spezial Model 0107(1995-1997)
監督ホルヘ・ソラリ、ヘッドコーチ早野宏史が、思い切って若手の川口を正GKに抜擢。
4月26日、第11節・柏レイソル戦でJリーグ初出場を果たします。
初出場らしくやや硬さも見られましたが、ゴールは割らせず無失点勝利。
ここからポジションをつかみ、NICOSシリーズは全試合出場。19歳の守護神が一気にブレイクします。
Uhlsport Classics Dino Model 0040 (1995-1997)
Embed from Getty Imagesチームは1stステージ優勝を経験し、
その後のチャンピオンシップでヴェルディ川崎を破って年間優勝。
そして川口自身も、Jリーグ新人王を受賞。
日本サッカー界に“新しい守護神”が誕生した瞬間でした。
1997年にこの0040の川口能活モデルを購入して、こればかりは使用できずにずっと保管していました。
そして、2019年に川口能活さんが参加されるサッカーのイベントに参加させていただき、念願のサインをいただきました。
うちの家宝です!!
川口能活が世界に名を知らしめたのが、1996年アトランタ五輪です。
Uhlsport Gore Tex Model 0076 (1995-1997)
その始まりは1994年2月2日。
マレーシア国際トーナメント・U-23マレーシア代表戦でU-23日本代表として初出場。以降、アトランタ五輪予選では正GKとしてゴールマウスを守り続け、メキシコ五輪以来28年ぶりとなる五輪出場へ大きく貢献します。
そして迎えた本大会。
アトランタ五輪・グループリーグ第1戦 日本 vs ブラジル
相手はロナウド、リバウドらを擁する優勝候補ブラジル。
試合は序盤から防戦一方。日本は押し込まれ続けます。
しかし――
川口は驚異的な反応、果敢な飛び出し、そして冷静なポジショニングで立ちはだかります。
ブラジルのシュート28本をすべてストップ。
日本は1-0で完封勝利。
後に「マイアミの奇跡」と呼ばれる歴史的金星の最大の立役者となりました。
ブラジル代表監督マリオ・ザガロも
「日本のGKは素晴らしかった」と称賛。
日本はグループリーグを2勝1敗としながらも得失点差で3位となり、決勝トーナメント進出は逃しましたが、川口の名は世界に刻まれました。
2000年代|ABSOLUTGRIP誕生と“クラシック完成形”の時代
看板パーム「ABSOLUTGRIP」の登場
2000年代に入り、uhlsportは現在まで続く看板フォーム──ABSOLUTGRIP(アブソルートグリップ)をリリースします。
ABSOLUTGRIPは、高品質な天然ラテックス(約4mm前後)を採用し、 グリップ力と耐久性のバランスを高い次元で両立したフォームとして登場しました。
「雨の日でもそこそこ止まる」 「人工芝でも極端に削れない」
そんな“オールラウンド性能”が評価され、 ABSOLUTGRIPは一過性のヒットではなく、 長期にわたる定番フォームとして定着していきます。
クラシックカット全盛の時代
2000年代のウールシュポルトは、 クラシックカット+厚めラテックス+しっかりした手首構造という、 いわば“ザ・GKグローブ”路線が主流でした。
フィットはややワイド寄り。 指の自由度よりも、安心感と包まれる感覚を重視した設計です。
部活で初めて「ちゃんとしたGKグローブ」を買ったとき、 ウールシュポルトを選んだという方も多いのではないでしょうか。
プロGKと2000年代ウールシュポルト
2000年代の代表的なGKとして紹介したいのが、 イタリア代表でも活躍したフランチェスコ・トルドです。
Uhlsport APG Air-Mesh 0187 (2000)
EURO2000での活躍は特に有名で、 イタリアの堅守を支えた守護神として強烈な印象を残しました。 当時の試合映像や写真を見ると、 ウールシュポルトのグローブを着用している姿を確認できます。
この時期のトルドが使用していたのは、 ABSOLUTGRIP登場前後のクラシック系モデルや、 厚みのあるラテックスを採用したハイエンドラインです。
フラットパーム構造、 しっかりとしたワイドストラップ、 存在感のあるuhlsportロゴ。
まさに2000年代の“ザ・GKグローブ”を体現するスタイルでした。
Uhlsport Excel Absolutegrip 0218 (2001-2003)
トルドは2001年に加入したインテルでは正GKとしてプレーしました。
2005-06シーズンからはロベルト・マンチーニ監督の方針により、ジュリオ・セザルにポジションを譲ることとなりましたが、それでも控えGKとしてチームを支え続け、インテルのリーグ5連覇、そしてイタリア史上初の三冠達成にも貢献しています。
Uhlsport Pro Fangmachine Absolutegrip Surround Model 0394
イェンス・レーマンは、ドルトムントやアーセナルで活躍した元ドイツ代表ゴールキーパー。特に2001-02シーズンにはドルトムントのブンデスリーガ優勝に貢献し、強気なプレースタイルとビッグセーブで存在感を放ちました。
アーセナル移籍前には、ウールシュポルトのグローブを着用していました。アーセナル移籍後はナイキを使用していましたね。
Uhlsport Chimera(2007)
CHIMERA(キメラ)は、2006年のドイツワールドカップ前後に登場したuhlsportのハイエンドモデルです。ギリシャ神話の合成獣“キメラ”を名前の由来とし、複数のテクノロジーを融合させた革新的モデルとして展開されました。
当時の主流であった分厚く安定感重視の設計をベースにしながらも、よりフィット感を高めた立体構造を採用。パンチングゾーンの強化や高性能ラテックスの搭載により、キャッチングと弾き出しの両面を支えるバランス型グローブでした。
グレゴリー・クペは、リヨン黄金期を支えたフランス代表ゴールキーパーです。2000年代にリーグ・アン7連覇を達成したチームの絶対的守護神として君臨し、安定したセービングと冷静な判断力で高い評価を受けました。2007年当時、クペが着用していたのがuhlsportの「CHIMERA」シリーズ。堅実かつ力強いプレースタイルと、重厚感あるCHIMERAのデザインは、まさに当時のリヨンの強さを象徴していました。
Uhlsport Ergonomic (2009)

インテル時代のフランチェスコ・トルドが着用しているのが、uhlsportの「Ergonomic」シリーズです。人間工学に基づいた立体カットが特徴で、指が自然に曲がる設計により高いフィット感を実現しました。2000年代前半のuhlsportを象徴するモデルであり、安定感と重厚なデザインは、当時セリエAで戦ったトルドの存在感そのものを体現しています。
Uhlsport Cerberus (2009)

Cerberus(ケルベロス)シリーズは、2000年代中盤のウールシュポルトを象徴するハイエンドモデルです。ギリシャ神話の三つ首の番犬「ケルベロス」を名前の由来とし、“ゴールを守り抜く番人”というコンセプトが強く打ち出されたシリーズでした。
最大の特徴は、分厚く高耐久なラテックスと、安定感を重視したどっしりとした設計。パンチングゾーンも強化され、当時のフィジカル色の強いプレースタイルにマッチした堅牢な作りが魅力でした。バックハンドに大胆に配置されたグラフィックも印象的で、ピッチ上での存在感は抜群です。
ハンス=イェルク・ブットは、ドイツ出身の元ゴールキーパーで、ハンブルガーSV、バイエル・レバークーゼン、そしてバイエルン・ミュンヘンといったトップクラブで活躍しました。特にペナルティキックを蹴るGKとしても知られ、ブンデスリーガ通算で多くのゴールを決めた異色の守護神でした。バイエルン在籍時の2009年頃には、uhlsportのCerberusシリーズのキーパーグローブを着用していました。
2000年代は、 セリエAやブンデスリーガといったトップリーグで、 実力派GKが堅実にウールシュポルトを選び続けた時代です。
一方、日本国内においては、日本代表クラスのGKが、アディダスやアシックス、プーマといったグローブを使用していたこともあり、その存在感は薄れていったように感じました。(実際、私もアディダスのグローブに浮気していました、、)
2010年代|FANGMASCHINEとニット・ハイグリップ化
2010年代前半から中盤にかけて、 ウールシュポルトはシリーズ展開をより明確に打ち出します。 その代表格がFANGMASCHINE(ファングマシーネ)です。
FANGMASCHINEという象徴的シリーズ
FANGMASCHINEは、クラシックフィットの安心感を残しつつ、 軽量ボディやパンチングゾーンなど近代的要素を組み込んだシリーズとして確立しました。
デザインもよりシャープに。 「昔のウール」から「モダンGKブランド」へと印象が変わっていったのがこの時代です。
初登場は2002年ですが、シリーズとして押し出されていったのは、2010年代前半のように思います。
Uhlsport Fangmachine (2010)
2010年にワールドカップを制覇したスペイン代表。
カシージャスらと共にゴールを支えたペペ・レイナがウールシュポルトのグローブを着用しながらトロフィーを掲げていたのは感慨深いですね。
SUPERSOFTの追加とフォーム三本柱
パームはABSOLUTGRIPを軸にしながら、 より粘着性を高めたSUPERGRIP、 さらに上位版のSUPERGRIP+が追加されます。
これにより、
- SUPERGRIP+(最上位ハイグリップ)
- SUPERSOFT(高粘着マッチモデル)
- ABSOLUTGRIP(オールラウンド)
という“プロ用フォーム三本柱”が形成されました。
ニット・ネオプレン時代の到来
この頃から、
- KNITバックハンド
- ネオプレンボディ
- アシンメトリックな手首構造
- シリコン製リバウンドゾーン
といった現代的スペックが標準化。
キーパーグローブの歴史の中で見ても、 「見た目も機能も一気に現代化した10年」と言えるでしょう。
プロGKと2010年代ウールシュポルト
ホッフェンハイムの守護神、オリバーバウマン。
2010年代を通してuhlsportを着用し続けた、現代uhlsportの“顔”ともいえる存在です。
Uhlsport Eliminator(2014)

Eliminator(エリミネーター)シリーズは、2010年代のuhlsportを代表するフラッグシップモデルです。従来の重厚なデザインから一転し、軽量性とフィット感を徹底的に追求した現代的な設計が特徴。ネガティブカットやタイトなシルエットを採用し、手と一体化するような装着感を実現しました。
オリバー・バウマンは、ホッフェンハイムで長年ゴールを守り続けるドイツ屈指の安定型GKです。派手さよりも堅実さが光る守備で評価を高め、ブンデスリーガ屈指のセーブ数を記録してきました。
Uhlsport Ergonomic (2015)

ルーカス・フラデツキーは、フィンランド代表の正ゴールキーパーとして長年活躍する実力派GKです。ブレンビーやフランクフルト、レバークーゼンなどでプレーし、安定したシュートストップと冷静なビルドアップ能力で高い評価を得ています。2015年前後にはuhlsportの「Ergonomic」シリーズを着用し、堅実なプレースタイルを支えていました。
ウーゴ・ロリスは、フランス代表の長年の正ゴールキーパーであり、トッテナム・ホットスパーでもキャプテンを務めた世界的GKです。抜群の反射神経と一対一の強さ、そして最終ラインの背後をカバーする広い守備範囲を武器に、現代型スイーパーGKの代表格として評価されてきました。
Uhlsport Ergonomic 360(2016)
2016年にuhlsportの広告塔として起用され、事実上“ブランドの顔”ともいえる存在に。初期はErgonomicシリーズを中心に着用し、シャープでフィット感重視へと進化したウールシュポルトのイメージを体現していました。
Uhlsport AeroRed Supersoft Hugo Lloris(2018)
その後、2018年ロシアW杯ではフランス代表のキャプテンとして優勝を経験。
ロリスの活躍とともに、uhlsportの存在感も世界の舞台で大きく高まりました。
この大会で使用してたのが、2018年のコレクションであるAeroRed。
基本はグレーをベースとしたモデルなのですが、ロリスが使用していたのはホワイトを基調としたシグネチャモデルでした。

2020年代〜現在|国内再注目とコレクション戦略の進化
2019年、当時日本代表GKとして活躍していた権田修一と契約したことをきっかけに、 ウールシュポルトは再び日本国内で大きな注目を集めました。
Jリーグや日本代表の試合中継で、 uhlsportロゴの入ったグローブが映る機会が増え、 「ウール、また来ているな」と感じたGKも多かったのではないでしょうか。
その後も、高丘陽平、小久保玲央ブライアンといったトップレベルのGKが契約。 欧州だけでなく、日本国内でも“プロが選ぶブランド”としての存在感を強めています。
2020年代の特徴は、 毎年テーマ性を持ったコレクションを展開している点にあります。
- 2019:NEXT LEVEL / RADAR CONTROL
- 2020:DYNAMIC IMPULSE / PURE ALLIANCE
- 2021:PURE FORCE / HYPER ACT
- 2022:HYPER RED / SPEED CONTACT
- 2023:POWERLINE
- 2024:PREDICTION
- 2025:CyberTEC
それぞれに明確なデザインコンセプトがあり、 カラーリングやバックハンド素材、エントリー構造がアップデートされています。
かつての“モデル固定型”とは異なり、 現代は「コレクション×パーム」という考え方。 同じABSOLUTGRIPでも、年ごとに表情が変わるのが魅力です。
POWERLINE以降の現代的スペック
2023年のPOWERLINE以降は、 軽量ニットボディ、ロングエントリーカフ、シリコンパンチングゾーンといった 現代GKグローブのトレンドを全面に打ち出しています。
フィット感はよりタイトに、 しかしクラシック系カットも継続展開することで、 「昔ながらのウールが好き」という世代にも配慮したラインナップになっています。
2024年登場:ULTRA GRIPという新たな選択肢
技術面での大きなトピックが、2024年にリリースされたULTRA GRIPです。

SUPERGRIP+を上回る粘着力を志向したフォームとして位置づけられ、 「とにかくグリップを最優先したい」という競技志向のGKに向けた最上位オプションが拡充されました。
Uhlsport NEXT LEVEL(2019)
大胆なグラフィックで“次の時代”を打ち出したコレクション。再びウールに注目が集まり始めた象徴的シリーズです。

Uhlsport RADAR CONTROL(2019)
視認性の高い配色とシャープなデザインが特徴。コート上で強い存在感を放つモデルとして人気を集めました。

Uhlsport DYNAMIC IMPULSE(2020)
スピード感あふれるビジュアルが印象的なシリーズ。フィット感を高めたエントリー構造も評価されました。

2018年頃、フランス代表GKのマイク・メニャンが、それまで着用していたadidasからウールシュポルトへとグローブを変更しました。
当時はまだリール在籍時代。
その後、ACミランへ移籍し、フランス代表の正守護神へと成長していく過程で、ウールシュポルトのグローブを着用し続けています。
世界トップクラスのGKが選んだという事実は、
「ウールは通好みのブランド」というイメージを、
“本気のトップモデルが使うブランド”へと押し上げる出来事でした。
Uhlsport PURE ALLIANCE(2020)
クリーンで洗練されたデザインが特徴。実戦向けスペックと安定感で幅広いGKに支持されました。

2019年にウールシュポルトと契約した権田修一は、2020年の日本代表戦で「Uhlsport PURE ALLIANCE」コレクションを着用。
テレビ中継で映る白基調のグローブは印象的で、
「またウールが代表の舞台に戻ってきた」と感じたGKも多かったはずです。
Uhlsport PURE FORCE(2021)
力強さをテーマにした鮮烈なカラーリング。軽量化とパンチング性能の向上が図られた世代です。

Uhlsport HYPER ACT(2021)
アグレッシブなグラフィックと高いフィット感が魅力。試合用モデルとしても高い人気を誇りました。

2021年、権田修一は清水エスパルスへ移籍。
Jリーグの舞台で再び存在感を示していきます。
この頃に着用していたのが「Uhlsport HYPER ACT」コレクション。
HYPER ACT世代では、軽量化とフィット感の向上が進み、
タイトな装着感を求めるGKに支持されたモデル。
“現代的ウール”の象徴とも言えるシリーズです。
Uhlsport HYPER RED(2022)
赤を基調としたインパクト重視のコレクション。ピッチで映えるデザインが特徴です。

2022年、高丘陽平が横浜F・マリノスでのラストイヤーに着用していたのが「Uhlsport HYPER RED」。
リーグ屈指のビルドアップ能力と安定したシュートストップを武器に、
マリノスのタイトル争いを支えた守護神。その手元を彩っていたのが、鮮烈な赤を基調としたHYPER REDでした。
強烈なビジュアルは、
攻撃的なマリノスのスタイルとも好相性。
ゴール前での存在感をさらに引き立てるデザインでした。
Uhlsport SPEED CONTACT(2022)
タイトフィット設計がさらに洗練。素手感覚に近いフィーリングを求めるGKに選ばれました。

2022年のFIFAワールドカップで、権田修一が着用していたのは「Uhlsport SPEED CONTACT」(ブルーカラー)。
4年に一度、全国民が注目する世界最高峰の舞台。
そのピッチで、ウールシュポルトのグローブが映し出されたインパクトは非常に大きいものでした。
ドイツ戦、スペイン戦といった歴史的勝利の中で、
権田はビッグセーブを連発。
その手元にあったのがSPEED CONTACTです。
Uhlsport POWERLINE(2023)
シリコンパンチングゾーンを象徴的に配置した現代的モデル。プロ契約選手の着用率も高い人気シリーズです。

シリコンパンチングゾーンを象徴的に配置した、現代的デザインのコレクション。フィット感と安定感を高次元で両立したシリーズです。
2023年、高丘陽平がメジャーリーグサッカーへ挑戦。
日本人GKとして新たなステージに立ったそのシーズン序盤に着用していたのが、このPOWERLINEでした。
Jリーグ王者から海外へ――。
よりフィジカルの強いリーグでの戦いにおいて選ばれたモデルがPOWERLINEだったという事実は、同シリーズの信頼性を物語ります。
Uhlsport PREDICTION(2024)
シャープで未来的なデザインへ進化。ULTRA GRIP登場と重なり、性能面でも注目度の高い世代です。

シャープで未来的なデザインへと進化したコレクション。ULTRA GRIPの登場と重なり、性能面でも注目度の高い世代です。
2023年にグリエルモ・ヴィカーリオがトッテナム・ホットスパーFCへ移籍。
プレミアリーグという世界最高峰の舞台に立つタイミングで、着用グローブをウールシュポルトへ変更しました。
そして2024年には、PREDICTIONコレクションを着用する姿が確認されています。
Embed from Getty ImagesUhlsport CyberTEC(2025)
テクノロジー感を前面に押し出した最新コレクション。軽量ニットボディと高反発バックハンドで次世代基準を提示しています。

テクノロジー感を前面に押し出した最新コレクション。軽量ニットボディと高反発バックハンドを採用し、次世代スタンダードを提示するシリーズです。
2024年、小久保玲央ブライアンがパリ五輪で活躍し、一躍注目を集めました。
将来の日本代表正守護神候補として名前が挙がる存在です。
そして2025年、親善試合で日本代表に初招集。
出場こそなかったものの、その合宿中に着用していたのがUhlsport CyberTECでした。
それまで契約していたプーマからウールシュポルトへ変更。
練習でCyberTECを使用している姿がSNSなどで話題になりました。
まとめ|ウールシュポルトは“懐かしさ”で終わらない
1990年代、Jリーグ開幕とともに憧れのGKが着けていた赤パーム。 2000年代、トルドに象徴されるクラシックな重厚感。 2010年代、ABSOLUTGRIPを軸にした安定と信頼。 そして2020年代、コレクション戦略とULTRA GRIPによるさらなる進化。
ウールシュポルトの歴史は、単なるデザインの変遷ではありません。 「時代ごとのGK像」をグローブで体現してきたブランドの歩みです。
かつて雑誌やテレビで見て憧れたモデルを追いかけていた世代も、 いま現在、POWERLINEやPREDICTION、CyberTECといった最新世代を実際に手に取ることができます。
そして2024年に登場したULTRA GRIPによって、 “最強グリップ”の選択肢はさらに広がりました。
昔のウールを知っている人ほど、 今のモデルをはめたときに感じるはずです。
軽さ。 フィット感。 それでいて変わらないキャッチの安心感。
ウールシュポルトは、 懐かしいブランドではなく、いまも進化を続ける現役のトップブランド。
歴史を知ったうえで、 ぜひ現在のモデルもチェックしてみてください。 きっと、あの頃とはまた違う“ウールの魅力”に出会えるはずです。









