2021-22シーズンも欧州の多くのリーグで最終節を終えました。
最後までリバプールかシティがどちらが優勝するのかわからなかったプレミアリーグ、やはりバイエルンが強かったブンデスリーガ、11年ぶりにミランが復活優勝を遂げたセリエAなど、本当に見応えのあるシーズンだったと思います。
そんなリーグを盛り上げたのはやはりゴールキーパー!各国のリーグ戦を終えて、ゴールキーパーに与えられる賞が決まりつつあります。
本記事では欧州4大リーグのゴールキーパーに与えられた賞とその受賞者を紹介していきます!
プレミアリーグ:ゴールデングローブ賞
プレミアリーグゴールデングローブ賞(Premier League Golden Glove)とは、プレミアリーグでシーズンを通して最も多くのクリーンシートを記録したゴールキーパーに与えられる賞です。
2021-22シーズンの受賞者はエデルソンとアリソン
2021-22シーズンは最後の最後まで優勝争いを演じたマンチェスター・シティ、リバプールの両守護神である、エデルソンとアリソンが受賞しました!二人とも20のクリーンシートを記録しています。
エデルソンはこれで3年連続の受賞。チームの攻撃の起点としての役割もこなしつつ、守備の面でもしっかりと成績を残していることがわかりますね。
対するアリソンは、2018-19シーズン以来の受賞です。
クリーンシートの数こそエデルソンと同率ですが、他のスタッツにも少し目を向けてみましょう。
1試合あたりの失点は0.67とリーグトップ!(エデルソンは0.70)。セーブ率の75.3%はリーグ3位の成績です。ゴールを守る部分のスタッツだけでもみると、アリソンはエデルソンをも上回る成績を残しています!
こんな二人はブラジル代表ではチームメイト。こんなに高レベルなGKが同じ時期に存在することが奇跡的です。
歴代ゴールデングローブ賞の受賞者
歴代のプレミアリーグ ゴールデングローブ賞の受賞者を振り返ります。
シーズン | 選手 | チーム | クリーンシート数 |
---|---|---|---|
2004–05 | ペトル・チェフ | チェルシー | 24 |
2005–06 | ペペ・レイナ | リバプール | 20 |
2006–07 | ペペ・レイナ | リバプール | 19 |
2007–08 | ペペ・レイナ | リバプール | 18 |
2008–09 | エトヴィン・ファン・デル・サール | マンチェスター・ユナイテッド | 21 |
2009–10 | ペトル・チェフ | チェルシー | 17 |
2010–11 | ジョー・ハート | マンチェスター・シティ | 18 |
2011–12 | ジョー・ハート | マンチェスター・シティ | 17 |
2012–13 | ジョー・ハート | マンチェスター・シティ | 18 |
2013–14 | ペトル・チェフ | チェルシー | 16 |
ヴォイチェフ・シュチェスニー | アーセナル | 16 | |
2014–15 | ジョー・ハート | マンチェスター・シティ | 14 |
2015–16 | ペトル・チェフ | アーセナル | 16 |
2016–17 | ティボー・クルトゥワ | チェルシー | 16 |
2017–18 | ダビド・デ・ヘア | マンチェスター・ユナイテッド | 18 |
2018–19 | アリソン・ベッカー | リバプール | 21 |
2019–20 | エデルソン | マンチェスター・シティ | 16 |
2020–21 | エデルソン | マンチェスター・シティ | 19 |
2021–22 | アリソン・ベッカー | リバプール | 20 |
エデルソン | マンチェスター・シティ | 20 |
ペトル・チェフとジョー・ハートが4回で歴代最多受賞者ですね。しかし、この数シーズンの勢いを見ると、エデルソンがその記録を塗り替えるのも時間の問題でしょうか。
チーム別ではマンチェスターシティが7回と最多。また国籍別でるとブラジル人が5回と過去最多ですね!それもすべてここ4シーズン!
プレミアリーグ自体は1992-93シーズンから始まったリーグです。しかし、ゴールデングローブ賞は開幕当初からあったわけではなく、2004-05から始まった賞です。
Cadburyというイギリスのお菓子メーカーが2004~2016までの間ずっとスポンサーでCadbury Golden Gloveと呼ばれていました。2021-22シーズンはカストロールという自動車用エンジンオイルなどで有名なブランドがスポンサーになっています。
リーガ・エスパニョーラ:サモラ賞
リーガ・エスパニョーラのサモラ賞は、ゴールキーパーに与えられる最も歴史のある賞の1つです。
サモラ賞とは?
「1試合あたりの失点数」が最も少ないゴールキーパーに授与されます。細かくは、60分以上出場した試合を1試合とカウントし、28試合以上出場したゴールキーパーの中から選ばれます。
2021-22シーズンのサモラ賞受賞者はセビージャのヤシン・ブヌ
今シーズンのサモラ賞に輝いたのは、レアルマドリーのクルトゥワではなく、リーグ4位のセビージャのヤシン・ブヌでした!
セビージャとしての受賞は史上初!アフリカ人GKとしての受賞は、1996-97シーズンにカメルーンの英雄ジャック・ソンゴオが受賞して以来とのこと。
1試合あたりの失点は0.77。2位のクルトゥワは0.81です。
ブヌは最終節を残した時点で1試合当たりの失点が既に1位。最終節でブヌが2失点し、クルトゥワが無失点であれば、逆転でクルトゥワがサモラ賞という状況でした。
しかし、既にチャンピオンズリーグ出場権の4位以内を決めているセビージャは、無理してブヌを出場させず、そのままサモラ賞はブヌが受賞することになりました。それほど、サモラ賞というのは栄誉ある賞なのでしょう。
しかし、1試合あたりの失点を受賞の基準とすると、こういう微妙な駆け引きが生まれてしまうのですね。
歴代サモラ賞の受賞者(2002年~)
サモラ賞の歴代受賞者を見てみましょう。サモラ賞は1958年に、スペインのマルカ誌によってつくられた賞です。
初代受賞者は、その名を関するリカルド・サモラ氏と書かれてしますが、1958年より以前のシーズンはあとから計算されたもので、1929年がリカルド・サモラ氏が1試合あたりの失点数が最も少なく、初代受賞者として名を連らねています。
シーズン | 選手 | チーム | 試合数 | 失点数 | 失点/試合 |
---|---|---|---|---|---|
2002–03 | パブロ・カバジェロ | セルタ・デ・ビーゴ | 34 | 27 | 0.79 |
2003–04 | サンティアゴ・カニサレス | バレンシアCF | 37 | 25 | 0.68 |
2004–05 | ビクトル・バルデス | FCバルセロナ | 35 | 25 | 0.71 |
2005–06 | ホセ・マヌエル・ピント | セルタ・デ・ビーゴ | 36 | 28 | 0.78 |
2006–07 | ロベルト・アボンダンシェリ | ヘタフェCF | 37 | 30 | 0.83 |
2007–08 | イケル・カシージャス | レアル・マドリード | 36 | 32 | 0.89 |
2008–09 | ビクトル・バルデス | FCバルセロナ | 35 | 31 | 0.89 |
2009–10 | ビクトル・バルデス | FCバルセロナ | 38 | 24 | 0.62 |
2010–11 | ビクトル・バルデス | FCバルセロナ | 32 | 16 | 0.5 |
2011–12 | ビクトル・バルデス | FCバルセロナ | 32 | 16 | 0.8 |
2012-13 | ティボ・クルトゥワ | アトレティコ・マドリード | 37 | 29 | 0.78 |
2013-14 | ティボ・クルトゥワ | アトレティコ・マドリード | 37 | 24 | 0.65 |
2014-15 | クラウディオ・ブラーボ | FCバルセロナ | 37 | 19 | 0.51 |
2015-16 | ヤン・オブラク | アトレティコ・マドリード | 38 | 18 | 0.47 |
2016-17 | ヤン・オブラク | アトレティコ・マドリード | 29 | 21 | 0.72 |
2017-18 | ヤン・オブラク | アトレティコ・マドリード | 37 | 22 | 0.59 |
2018-19 | ヤン・オブラク | アトレティコ・マドリード | 37 | 27 | 0.73 |
2019-20 | ティボ・クルトゥワ | レアル・マドリード | 34 | 20 | 0.59 |
2020-21 | ヤン・オブラク | アトレティコ・マドリード | 38 | 26 | 0.66 |
2021-22 | ヤシン・ブヌ | セビージャ | 31 | 24 | 0.77 |
セリエA:The Serie A Awards Best Goalkeeper
セリエAでゴールキーパーに与えられる賞にはセリエAアウォーズのベストゴールキーパー賞があります。
Stats Perform and Opta SportsのデータをもとにErnst & Young社が計算した結果とのことですが、詳細なロジックは不明です。
2021-22の The Serie A Awards Best Goalkeeper
2021-22の受賞者は12年ぶりのスクデットに貢献したマイク・メニャンでした。
ACミランを11年ぶりのセリエA優勝に導いたマイク・メニャン。計算方法の詳細は不明ですが、セーブ率81.2%、1試合あたりの失点は0.66、クリーンシート率も53.1%はいずれもリーグトップ。文句なしの成績といっていいですよね。
Best Goalkeeper 歴代受賞者
The Serie A Awardsは比較的新しい賞で、始まったのは、2018-19シーズンからです。
シーズン | 選手 | チーム |
---|---|---|
2018-19 | サミール・ハンダノビッチ | インテル・ミラノ |
2019-20 | ヴォイチェフ・シュチェスニー | ユベントス |
2020-21 | ジャンルイジ・ドンナルンマ | ACミラン |
2021-22 | マイク・メニャン | ACミラン |
AIC Serie A Goalkeeper of the Yearは別にあります
スタッツにより機械的に選出される賞以外にもAIC Serie A Goalkeepr of the Yearというものが別であります。
これは今シーズン最も活躍したゴールキーパーに与えられる賞です。
1997 から 2010 は「Oscar del Calcio awards」の一部として、2011年以降はthe Gran Galà del Calcio awardsのTeam of the YearのGKが該当します。こちらの歴代受賞者は以下の通りです。2021-22シーズンはこれから選出ですが、メニャンで決まりでしょうか。
シーズン | 選手 | チーム |
---|---|---|
1997 | アンジェロ・ペルッツィ | ユベントス |
1998 | アンジェロ・ペルッツィ | ユベントス |
1999 | ジャンルイジ・ブッフォン | パルマ |
2000 | フランチェスコ・トルド | フィオレンティーナ |
2001 | ジャンルイジ・ブッフォン | パルマ |
2002 | ジャンルイジ・ブッフォン | ユベントス |
2003 | ジャンルイジ・ブッフォン | ユベントス |
2004 | ジーダ | ACミラン |
2005 | ジャンルイジ・ブッフォン | ユベントス |
2006 | ジャンルイジ・ブッフォン | ユベントス |
2007 | アンジェロ・ペルッツィ | ラツィオ |
2008 | ジャンルイジ・ブッフォン | ユベントス |
2009 | ジュリオ・セザール | インテル |
2010 | ジュリオ・セザール | インテル |
シーズン | 選手 | チーム |
---|---|---|
2011 | サミル・ハンダノヴィッチ | ウディネーゼ |
2012 | ジャンルイジ・ブッフォン | ユベントス |
2013 | サミル・ハンダノヴィッチ | インテル |
2014 | ジャンルイジ・ブッフォン | ユベントス |
2015 | ジャンルイジ・ブッフォン | ユベントス |
2016 | ジャンルイジ・ブッフォン | ユベントス |
2017 | ジャンルイジ・ブッフォン | ユベントス |
2018 | アリソン | ローマ |
2019 | サミル・ハンダノヴィッチ | インテル |
2020 | ジャンルイジ・ドンナルンマ | ACミラン |
2021 | ジャンルイジ・ドンナルンマ | ACミラン |
2022 | 未定 | 未定 |
ブンデスリーガ:該当なし
多くの優秀なゴールキーパーを輩出するブンデスリーガですが、意外にもゴールキーパーに与えられる個人賞はありません。代わりにブンデスリーガ公式のTeam of the Yearのゴールキーパーを紹介します。
https://www.bundesliga.com/en/bundesliga/news/ea-sports-team-of-the-season-2021-22-overview-19624
2021-22 Team of the Year:マヌエル・ノイアー
バイエルンの10連覇で幕を閉じたブンデスリーガ。そのゴールを守るのはやはりこの人、ノイアーでした。
選考理由から読み取ってもそのスタッツから納得の結果です。リーグ最少失点に加え、リーグトップの10のクリーンシート。セーブ率もリーグトップではないものの、71.9%はリーグ5位の成績です。
通算の勝利数、クリーンシート数で、過去最多だったオリバー・カーン氏の成績を抜いたこともインパクトがありました。
まとめ
欧州4第リーグにおける2021-22シーズンでゴールキーパーに与えられた賞を紹介しました。
- プレミアリーグ - ゴールデングローブ賞:アリソン、エデルソン
- ラ・リーガ - サモラ賞:ヤシン・ブヌ
- セリエA - The Serie A Awards Best Goalkeeper:マイク・メニャン
- ブンデスリーガ - Team of the Season:マヌエル・ノイアー
欧州リーグでゴールキーパーに与えられる個人賞では、単純にスタッツから計算されるものが多いのが印象的でした。
怪我やコンディション不良なく、シーズンを通して試合に出続けるということも、最も大切な価値の一つだと思いますので、個人的にはプレミアリーグのゴールデングローブ賞のように、最多のクリーンシートを達成した選手に与えるのが比較的フェアなのかなと思います。
Jリーグでもゴールキーパーに与えられる賞をぜひ導入して欲しいですよね!