2021シーズンのJリーグでも、いくつも印象に残るようなスーパーセーブを見ることができました。派手なセービングや、残留のかかったここぞというときに魅せてくれたセーブは我々ファンの心をつかみますよね。
一方、シーズンを通してゴールキーパーがどれだけチームの勝利に貢献したのか。それを評価するために、セーブ率、セーブ数をはじめとした各種スタッツを見てみるのもとても面白いですよね。しかし、Jリーグのゴールキーパー関連のスタッツって意外とインターネットでまとまったものがありませんよね。
本記事ではJ1リーグにおけるゴールキーパーのスタッツに関するランキングをまとめました。最初に言っておきたいのは、各種スタッツが高いからといって、それが優秀なゴールキーパーとは必ずしも言えないんですよね。サッカーはチームスポーツですから。
例えば、セーブ数が多いことは、もちろんそれだけチームに貢献していることは間違いありません。しかし、ゴールキーパーには相手にシュートを打たせないためにできるプレーもたくさんありません。
- 未然にペナルティエリアを飛び出しシュートをクリアする
- シュートを打たせないようにディフェンダーに指示を出す
などです。それらのプレーが上手なプレイヤーはそもそも打たれるシュート数が少ないのでセーブ数は少なくなりますよね。だからと言ってそのゴールキーパーが優秀でないわけではないことは明白ですよね。
ですので、各種スタッツも、サッカーを楽しむ1つの要素として、楽しんでもらえればと思います。
J1リーグセーブ率ランキング ベスト3!
最初に紹介するスタッツはセーブ率。枠内のシュートのうち、ゴールキーパーが止めたシュートの割合です。
データソースは、https://fbref.com/ です。
1位:村上昌謙 | Masaaki Murakami 78.6%
- 国籍:日本
- 誕生日:1992年8月7日
- 身長/体重:185cm/80kg
- 所属チーム:アビスパ福岡(レノファ山口FC→水戸ホーリーホック→)
- 代表歴:-
1位はアビスパ福岡の村上。セーブ率は78.6%です!
アビスパは2021年がJ1リーグ昇格1年目。その中で最終的に8位/20というのは素晴らしい結果です。
村上がアビスパ福岡に移籍したのはJ2時代の2020年シーズンから。当時の正GKセランテスと正GK争いをしながら2019年はJ2で16位だったチームを、2位にまで押し上げる原動力となったといえます。
そしてJ1での2021シーズン、アビスパは8位。失点37は9位以下と比べると極めて少なくなっているのが分かりますね。
良いゴールキーパーはチームを勝たせることができます。ここ2年間のチームの勝利への貢献を考えると、アビスパ福岡の村上、もっと評価されても良いゴールキーパーなのではないかと思っています。
2位:朴一圭 | PARK Ilgyu 75.9%
- 国籍:韓国
- 誕生日:1989年12月22日
- 身長/体重:180cm/76kg
- 所属チーム:サガン鳥栖(藤枝MYFC→FC KOREA→藤枝MYFC→FC琉球→横浜F・マリノス→)
- 代表歴:-
2位はサガン鳥栖のパク・イルギュ。セーブ率は75.9%です。
セーブ率も素晴らしいのですが、Jリーグの全38試合に出場しているというのも素晴らしい。全ての試合で同じGKが出るということは、ディフェンダーとの連携において、チームに間違いなく安定をもたらします。
わかりやすい例でいうと、ゴール前にボールが飛んできたときに、ゴールキーパーが出て対応するのか、ディフェンダーがクリアするのかの守備陣全体の判断の質が上がっていきます。
というのも、ゴールキーパーによって、ボールに対して飛び出すことができるエリアの範囲はかなり違います。その範囲は広いに越したことはないですが、それよりも大切なのは、この状況ではゴールキーパーが出る、この状況ではディフェンダーがクリアする、ということが、守備陣全体で意識が合ってことなんですよね。
ゴールキーパーが試合ごとに替わると、この意識を合わせる作業をやり直さないといけません。年間のリーグを通してきちんと試合に出続けること自体、チームへ大きな貢献となっているのです。
尚、J1リーグ2021シーズン同じく38試合全ての試合でゴールを守った選手はイルギュ含めて5人。
- 朴一圭(サガン鳥栖)
- ミチェル・ランゲラック(名古屋グランパス)
- 東口順昭(ガンバ大阪)
- 権田修一(清水エスパルス)
- キム・ジンヒョン(セレッソ大阪)
拍手を贈るべき選手達です。
完全に余談ですが、セーブ率の1位、2位のゴールキーパーが使用するキーパーグローブがたまたまGAViCでしたね!GAViCのグローブは、まさかセーブ率を高める効果がある!?笑
3位タイ:ミッチェル・ランゲラック | Mitchell Langerak 75.2%
3位は2人が並んでいます。1人目は名古屋グランパスのミッチェル・ランゲラック。セーブ率は75.2%です。
- 国籍:オーストラリア
- 誕生日:1988年8月22日
- 身長/体重:193cm/80kg
- 所属チーム:名古屋グランパス(メルボルン・ビクトリーFC→サウス・メルボルンFC→ボルシア・ドルトムント II→ボルシア・ドルトムント→VfBシュトゥットガルト→レバンテUD→)
- 代表歴:オーストラリア代表(2013~)
2021年シーズンは優勝した川崎フロンターレのチョン・ソンリョンらを抑え、Jリーグアウォーズでベストイレブンを獲得。それもそのはず。セーブ率以外にも、1シーズンのクリーンシート数の記録を25年ぶりに塗り替える21!ランゲラックは前述の通り、38試合に出場していますので、実に半分以上の試合で完封していることになります。
またJ1リーグの成績こそ、5位フィニッシュだったものの、ルヴァンカップ優勝のタイトルを獲得!守備陣としての記録だけでなく、それがきっちりとタイトルにつながっている点は非常に評価できますよね。
3位タイ:高丘陽平 | Yohei Takaoka 75.2%
もう1人のセーブ率3位は、横浜Fマリノスの高丘。セーブ率は同じく75.2%です。
- 国籍:日本
- 誕生日:1996年3月16日
- 身長/体重:181cm/72kg
- 所属チーム:横浜Fマリノス(横浜FC→サガン鳥栖→)
- 代表歴:-
横浜Fマリノスは勝ち点79で2位フィニッシュ。勝ち点79といえば、通常のシーズンであれば優勝してもおかしくないような勝ち点。このセーブ率に加え、失点数を見ても、33試合で29失点と1試合1点以下に抑えているのも、J1でトップレベルの貢献をしているといっていいと思います。ただ、今年は川崎フロンターレが強すぎましたよね。。
高丘はここまで登場してきた選手の中でも、唯一厳しいスタメン争いで完全に正GKを獲得したとはいいがたい状況です。2021年シーズン、開幕スタメンもオビ・パウエル・オビンナに譲る形に。今シーズンスタメン出場したのは第7節からでした。
同時期にオビが栃木にレンタルされることになりましたが、2022年シーズンからは、オビのレンタル期間も終了し、再び厳しい正GK争いが繰り広げられることになると思います。
J1リーグ2021 セーブ率ランキング一覧
J1リーグの2021年シーズンにおけるセーブ率ランキングは以下の通りです。20試合以上出場した選手を対象としています。全18選手!
選手 | チーム | セーブ率 |
---|---|---|
村上昌謙 | アビスパ福岡 | 78.6 |
朴一圭 | サガン鳥栖 | 75.9 |
高丘陽平 | 横浜Fマリノス | 75.2 |
ミチェル・ランゲラック | 名古屋グランパス | 75.2 |
チョン・ソンリョン | 川崎フロンターレ | 74.4 |
西川周作 | 浦和レッズ | 73.6 |
東口順昭 | ガンバ大阪 | 73.6 |
谷晃生 | 湘南ベルマーレ | 72.7 |
高木駿 | 大分トリニータ | 70.0 |
キム・ジンヒョン | セレッソ大阪 | 69.4 |
波多野豪 | FC東京 | 67.7 |
菅野孝憲 | 北海道コンサドーレ札幌 | 66.9 |
ヤクブ・スウォビィク | ベガルタ仙台 | 66.9 |
大迫敬介 | サンフレッチェ広島 | 66.3 |
沖悠哉 | 鹿島アントラーズ | 64.8 |
キム・スンギュ | 柏レイソル | 64.8 |
権田修一 | 清水エスパルス | 63.9 |
上福元直人 | 徳島ヴォルティス | 60.2 |
J1リーグ2021 セーブ数ベスト3
セーブ数という指標もあります。シーズンを通して何本のシュートとストップしたのか。
サッカーが、「2つのチームが、相手よりも多く点を取った方が勝ち」というシンプルなゲームである以上、ゴールキーパーのセーブというのは、フィールドプレーヤーのゴールと同じ価値があります。
1位:東口順昭 | Masaaki Higashiguchi 130セーブ
1位はガンバ大阪の東口。シーズンを通して130点も、相手の攻撃を防いだことになります。東口もJ1リーグの38試合全てで出場したことも称賛に価します。
このセーブ数という指標は評価が難しいのは冒頭でお伝えした通りです。ガンバ大阪の被枠内シュート数は178。これは優勝チームの川崎フロンターレの2倍以と、打たれすぎですよね。
元日本代表のゴールキーパーでもある、東口のセービング能力が素晴らしいことに疑いはありませんが、セーブ数が多いことが必ずしも、そのゴールキーパーの勝利への貢献度が高かったとは言い難いです。
2位:ヤクブ・スウォビィク | Jakub Słowik 117セーブ
2位はベガルタ仙台のヤクブ・スウォヴィク。残念ながらチームはJ2降格してしまし、2022シーズンからはFC東京にその活躍の舞台を移すことになりました。
3位:村上昌謙 | Masaaki Murakami 114セーブ
ここでも出ましたアビスパ福岡の村上。114セーブ。これだけシュートを打たれるということは、チームのパフォーマンスは、リーグの中でも必ずしも良いものではなかった。にもかかわらず、高いセーブ率を保ち、失点を最小限に抑え、結果としてチームの順位は昇格組としては大健闘の9位。
やはり村上の活躍はリーグでもトップクラス。海外のリーグだったら上位のチームに引き抜かれるレベル。
J1リーグ2021 セーブ数ランキング一覧
20試合以上出場した選手の中から、セーブ数をランキング。
選手 | チーム | 枠内被シュート | セーブ数 | セーブ数/試合 |
---|---|---|---|---|
東口順昭 | ガンバ大阪 | 178 | 130 | 3.42 |
ヤクブ・スウォビィク | ベガルタ仙台 | 175 | 117 | 3.16 |
村上昌謙 | アビスパ福岡 | 145 | 114 | 3.08 |
キム・ジンヒョン | セレッソ大阪 | 160 | 111 | 2.92 |
朴一圭 | サガン鳥栖 | 133 | 102 | 2.68 |
権田修一 | 清水エスパルス | 147 | 95 | 2.50 |
谷晃生 | 湘南ベルマーレ | 128 | 94 | 2.76 |
キム・スンギュ | 柏レイソル | 142 | 93 | 2.66 |
西川周作 | 浦和レッズ | 121 | 89 | 2.78 |
菅野孝憲 | 北海道コンサドーレ札幌 | 130 | 87 | 2.42 |
ミチェル・ランゲラック | 名古屋グランパス | 113 | 85 | 2.24 |
波多野豪 | FC東京 | 124 | 84 | 2.71 |
高丘陽平 | 横浜Fマリノス | 109 | 82 | 2.48 |
高木駿 | 大分トリニータ | 110 | 78 | 3.25 |
上福元直人 | 徳島ヴォルティス | 108 | 65 | 1.91 |
チョン・ソンリョン | 川崎フロンターレ | 86 | 64 | 1.94 |
沖悠哉 | 鹿島アントラーズ | 91 | 60 | 1.82 |
大迫敬介 | サンフレッチェ広島 | 80 | 53 | 1.96 |
J1リーグ2021 防御率ベスト3
失点というが必ずしもゴールキーパーだけの責任ではないのと同時に、失点の少なさは必ずしもゴールキーパーだけの功績ではありません。
とはいえやはり失点が少ないゴールキーパーというのは、シュートセーブ以外に、クロスボールやパスカット、ディフェンストの連係など、シュートを未然に防ぐ能力が高い場合が多いです。
失点の多さはゴールキーパーのチームへの貢献度を図る大切な指標であることは疑いようがありません。ここでは防御率、つまり1試合あたりの失点数のベスト3を紹介します。
1位:チョン・ソンリョン | JUNG Sung Ryong 23失点(0.7/試合)
1位はやはりJ1リーグ2021チャンピオン、川崎フロンターレからチョン・ソンリョンです。1試合あたり0.7失点は驚異的な成績です。
2位:ミチェル・ランゲラック | Mitchell Langerak 30失点(0.79/試合)
ランゲラックも納得のランクイン。人間業とは思えないようなビッグセーブも話題になりましたが、それだけレベルの高いプレーを、単発ではなくシーズンを通して継続できているところが本当のランゲラックの凄みです。
3位:高丘陽平 | Yohei Takaoka 29失点(0.88/試合)
3位は横浜Fマリノスの高丘。チームの2021年シーズンの成績も2位です。攻撃的なスタイルのチームにおいて、この失点の少なさは、高丘の戦術を体現する能力の高さを物語っているといえます。
J1リーグ2021 防御率ランキング一覧
ここでも20試合以上出場した選手を対象して防御率のランキングを作成しました。上位5名が1試合あたりの失点が1点以下というのは素晴らしい。
選手 | チーム | 試合数 | 失点 | 防御率 |
---|---|---|---|---|
チョン・ソンリョン | 川崎フロンターレ | 33 | 23 | 0.7 |
ミチェル・ランゲラック | 名古屋グランパス | 38 | 30 | 0.79 |
高丘陽平 | 横浜Fマリノス | 33 | 29 | 0.88 |
村上昌謙 | アビスパ福岡 | 37 | 34 | 0.92 |
朴一圭 | サガン鳥栖 | 38 | 35 | 0.92 |
西川周作 | 浦和レッズ | 32 | 33 | 1.03 |
沖悠哉 | 鹿島アントラーズ | 33 | 35 | 1.06 |
大迫敬介 | サンフレッチェ広島 | 27 | 30 | 1.11 |
谷晃生 | 湘南ベルマーレ | 34 | 39 | 1.15 |
菅野孝憲 | 北海道コンサドーレ札幌 | 36 | 46 | 1.28 |
東口順昭 | ガンバ大阪 | 38 | 49 | 1.29 |
上福元直人 | 徳島ヴォルティス | 34 | 45 | 1.32 |
キム・ジンヒョン | セレッソ大阪 | 38 | 51 | 1.34 |
波多野豪 | FC東京 | 31 | 42 | 1.35 |
権田修一 | 清水エスパルス | 38 | 54 | 1.42 |
高木駿 | 大分トリニータ | 24 | 35 | 1.46 |
キム・スンギュ | 柏レイソル | 35 | 51 | 1.46 |
ヤクブ・スウォビィク | ベガルタ仙台 | 37 | 61 | 1.65 |
J1リーグ2021 クリーンシート数
1位:ミチェル・ランゲラック | Mitchell Langerak 21完封
今シーズンのランゲラックの活躍は説明不要ですね。38試合に出場し、21のクリーンシート(=完封)!。それまでの記録は1995年の横浜Fマリノスの18。しかもこの頃は、2ステージ制で試合数も54試合と圧倒的に多かった。21という数字がいかにすごい数字かがわかりますよね。
クリーンシート数以外にも、今シーズンのランゲラックは記録づくめのシーズンで以下の新記録も記録しています。
- 連続無失点9試合(それまでは2014年浦和レッズの7試合)
- 無失点継続823分(それまでは1993年清水エスパルス731試合)
選手 | チーム | 試合数 | 完封 | 完封率 |
---|---|---|---|---|
ミチェル・ランゲラック | 名古屋グランパス | 38 | 21 | 55.3 |
高丘陽平 | 横浜Fマリノス | 33 | 15 | 45.5 |
村上昌謙 | アビスパ福岡 | 37 | 15 | 40.5 |
朴一圭 | サガン鳥栖 | 38 | 15 | 39.5 |
チョン・ソンリョン | 川崎フロンターレ | 33 | 14 | 42.4 |
東口順昭 | ガンバ大阪 | 38 | 14 | 36.8 |
西川周作 | 浦和レッズ | 32 | 13 | 40.6 |
波多野豪 | FC東京 | 31 | 12 | 38.7 |
沖悠哉 | 鹿島アントラーズ | 33 | 11 | 33.3 |
谷晃生 | 湘南ベルマーレ | 34 | 10 | 29.4 |
キム・ジンヒョン | セレッソ大阪 | 38 | 10 | 26.3 |
菅野孝憲 | 北海道コンサドーレ札幌 | 36 | 8 | 22.2 |
上福元直人 | 徳島ヴォルティス | 34 | 8 | 23.5 |
キム・スンギュ | 柏レイソル | 35 | 8 | 22.9 |
ヤクブ・スウォビィク | ベガルタ仙台 | 37 | 7 | 18.9 |
大迫敬介 | サンフレッチェ広島 | 27 | 6 | 22.2 |
権田修一 | 清水エスパルス | 38 | 6 | 15.8 |
高木駿 | 大分トリニータ | 24 | 6 | 25 |
まとめ
さて、いかがだったでしょうか。J1リーグ2021のゴールキーパーの活躍を、セーブ率、セーブ数、防御率、クリーンシート数という指標を使用して振り返りました。
やはりJリーグアウォーズベストイレブンのランゲラックの残した今シーズンの成績は目立ちました。
また、アビスパ福岡の村上のチームへの貢献度の高さが読み取れました。
Jリーグの視聴方法
2022シーズンのJリーグはDAZN(ダゾーン)が全試合を配信しています。
もちろん見逃し配信もあります!
DAZNへの加入に興味のある方は以下のリンクより!
▶DAZNはJリーグをライブ配信!Jリーグのある週末はこちらから!DAZN加入までの簡単な流れは以下の通りです。
- DAZNにアクセス
- 「支払い方法」を選択
- 「アカウントの作成」のページで「お名前」「Eメールアドレス」「パスワード」を入力後、「次のステップへ」を選択
- 「お支払い情報」のページで必要事項を入力後、「視聴を開始する」を選択
登録後すぐに視聴可能です!
Jリーグの他にも欧州リーグやカップ戦はもちろん、野球やF1も視聴可能です!
※2022年2月から残念ながら無料体験<トライアル>はなくなってしまいました。