リーガ・エスパニョーラで最も盛り上がるダービーマッチ、エル・クラシコが日本時間は今夜行われます。レアル・マドリー、バルセロナの両チームを代表するのは、世界屈指のGKであるクルトゥワとテア=シュテーゲン。GKが良し悪しが試合を決めるということで、今シーズンのリーガにおけるスタッツを徹底比較し、クラシコへの展望としたいと思います。
そもそも「エル・クラシコ(El Clásico)」とは!?
エル・クラシコとはスペイン語で「伝統の一戦」を意味し、スペインのサッカーチーム、レアル・マドリードとFCバルセロナの試合のことを指します。各国サッカーリーグの伝統的な試合を「クラシコ」と表されることがありますね。日本では「~ダービー」と同じような使われ方をすることが多い気がしています。
日本でも「~クラシコ」と呼ばれる伝統の試合に以下のようなものがあります。
- 多摩川クラシコ(FC東京vs川崎フロンターレ)
- 東四国クラシコ(徳島ヴォルティスvsカマタマーレ讃岐)
- 北四国クラシコ(カマタマーレ讃岐×愛媛FC / FC今治)
エル・クラシコの両GKのプロフィール
レアル・マドリー:ティボー・クルトゥワ
- 名前:ティボー・クルトゥワ
- 国籍:ベルギー
- 誕生日:1992年5月11日
- 身長/体重:200cm/96kg
- 所属チーム:レアル・マドリー(ヘンク→チェルシー→アトレティコ・マドリード→レアル・マドリード→)
- 代表歴:ベルギー代表
バルセロナ:マルク・アンドレ・テア=シュテーゲン
- 名前:マルク・アンドレ・テア=シュテーゲン
- 国籍:ドイツ
- 誕生日:1992年4月30日
- 身長/体重:187cm/85kg
- 所属チーム:FCバルセロナ(ボルシアMG Ⅱ→ボルシアMG→)
- 代表歴:ドイツ代表(2012年~)
Overview
テア=シュテーゲンはオフ期間の膝の手術の影響で開幕に出遅れてスタートしていました。ですので、最初の2節を欠場し出場試合数が少なくなっています。
失点数、防御率ではテア=シュテーゲンに軍配。ただ、枠内シュート数がレアルは倍なので、チーム戦術によるものも大きいかも知れません。クルトゥワは被シュート数が倍な分、倍以上のセーブをしています。セーブ率も若干ですが、クルトゥワがテア=シュテーゲンが上回っています。
クルトゥワ | - | テア=シュテーゲン |
---|---|---|
8 | 試合数(MP) | 6 |
10 | 失点(GA) | 5 |
1.25 | 防御率(GA90) | 0.83 |
2 | クリーンシート(CS) | 2 |
25.0 | 完封率(CS%) | 33.3 |
32 | 枠内シュート(SoTA) | 16 |
23 | セーブ数(Saves) | 11 |
71.9% | セーブ率(Save%) | 68.8% |
シュートへの対応
シュートストップに関して、セーブ率という指標が使われることが多いですが、私が参考にしているfbref.comというサッカーデータのサイトでは、PSxGという指標を提供してくれています。
セーブ率という指標の弱点は、GKの能力が正確に反映されないケースがあることです。言葉は悪いですが、ディフェンスが弱すぎてノーチャンスのシュートを打たれまくった場合、GKの能力がどんなに高かったとしても、セーブ率は低くなってしまいます。
PSxGは「失点しても仕方がない、レベルの高いシュート数」ともいえるもので、本記事では「失点期待値」として表現しています。「失点期待値-実失点」がプラスになれば、本来では失点してもおかしくないようなシュートを止めていると言えます。即ち、セーブ率よりも正確に失点を防いでいる割合を表現しているといえると思います。
今シーズンここまでは、若干テア=シュテーゲンが上回っていますが、大きな差はないのでほぼ互角といっていいでしょう。両GKとも期待通りくらいの活躍をしていると言えます。
ペナルティーエリア外への飛び出し
ペナルティーエリアへの飛び出し回数は、ほぼ互角ですが若干クルトゥワがスタッツでは上回りました。
クロスボールへの対応
クロスボールへの対応はクルトゥワに軍配。ペナルティーエリアに挙げられたクロスに対しては10.2%対応していて、これはリーガ3位の成績。この指標はちょっと難しい。トップの選手で11.8%なので、ペナルティーエリアに放り込まれるクロスボールのうちGKが処理できるクロスは10数%なんですね。
クルトゥワ | - | テア=シュテーゲン |
---|---|---|
59 | Pエリアへのクロスボール数(Crosses:Opp) | 39 |
6 | Pエリアへのクロスボール対応数(Crosses:Stp) | 3 |
10.2 | Pエリアへのクロスボール対応割合(Crosses:Stp%) | 7.9 |
ビルドアップへの対応
ロングフィードへの対応はテア=シュテーゲンが強いです。ロングフィードの成功率は47.4%とこれはリーグ3位の成績。ショートパスの成功率はほぼ互角。
シュートパスの数はクルトゥワとテア=シュテーゲンは同じくらいですが、試合数を考えると、やはりテア=シュテーゲンの方がビルドアップへの貢献度は高いといえるでしょう。
パスの中でロングフィードの割合は21%程度でほぼ同じくらいなんですね。
クルトゥワ | - | テア=シュテーゲン |
---|---|---|
60 | ロングフィード(Launched:Att) | 57 |
20 | ロングフィード成功(Launched:Cmp) | 27 |
33.3% | ロングフィード成功率(Launched:Cmp%) | 47.4% |
241 | パス数(Passing:Att) | 227 |
199 | パス成功数(Passing:Cmp) | 192 |
82.6 | パス成功率(Passing:Cmp%) | 84.6 |
39 | スロー数(Passes:Thr) | 19 |
20.7 | ロングフィードの割合(Passes:Launch%) | 21.8 |
終わりに
本記事はこの以下の記事を読んだことをきっかけに、自分なりに両GKのスタッツを比較したくなって作りました!
https://news.yahoo.co.jp/articles/f31c669e7becec559d1c49c7868003c5cc9e0e75
2021-22シーズン最初のクラシコをGKのスタッツという観点から展望しました。レアル・マドリーは被枠内シュート数が多く、またテア=シュテーゲンのビルドアップへの貢献度も高いことから、クラシコでもバルセロナがチャンスを多く作る展開が予想されます。
シュートストップ能力は、もともと両者とも世界トップクラスであることは大前提として、今シーズンここまでのスタッツを見ても大差ありません。となると、バルセロナが有利になるでしょうか。
本記事をきっかけにGKのスタッツという観点からクラシコを楽しむきっかけとなれば、こんなにうれしいことはありません!いざキックオフ。
あとがき
2021-22シーズンの最初のクラシコは予想とは裏腹にバルセロナではなくレアル・マドリードが勝利でしたね。
緊張感のある良い試合で、シュートもレベルが高く、GKとしてはノーチャンスといえるシュートばかりでしたね。今後もこの二人の対決は見逃せません。