プレミアリーグ2023-24シーズンに最も活躍したゴールキーパーは誰なのか。
その活躍を以下のスタッツにより客観的な指標として見ていきたいと思います。
- セーブ率
- セーブ数
- PSxG+/-
- 防御率
- クリーンシート
- パス本数
- ペナルティエリア外でのクリア数
- クロスボール処理率
サッカーは個人競技ではないので、ゴールキーパーのスタッツは、その活躍を示すあくまで1つの指標にすぎません。あくまで1つの参考情報として楽しんでいただければなと思います。
スタッツはfbref.comの情報を参照させてもらっています。
プレミアリーグ2023-24 セーブ率ランキング
セーブ率
枠内に打たれたシュートのうち、どれくらいの割合のシュートをストップしているか。リーグの特性などにもよるが、80%を超えてくるとトップクラスの数値といえる。
セーブ率 = ストップしたシュート数 ÷ 枠内に打たれたシュート ×100
1位:アンドレ・オナナ(André Onana) 74.9%
- 名前:アンドレ・オナナ(André Onana)
- 国籍:カメルーン
- 誕生日:1996年4月2日
- 身長/体重:190cm/82kg
- 所属チーム:マンチェスター・ユナイテッド(ヨング・アヤックス→アヤックス→インテル・ミラノ→)
- 代表歴:カメルーン代表
プレミアリーグのセーブ率、第1位はマンチェスター・ユナイテッドのアンドレ・オナナ選手です。
2023-24シーズンより、セリエAのインテルからマンチェスター・ユナイテッドに加入。ファーストシーズンから見事に結果を残したといえますね。
とはいえ、どんなゴールキーパーも移籍後はチームやファンの信頼を集めるまで苦しい期間があるもの。マンチェスター・ユナイテッドで長らく活躍したシュマイケルやデ・ヘアも最初のシーズンは不安定なプレーが続き、多くの批判を受けたものです。
2023-24シーズンのオナナも順風満帆というわけではありませんでした。チャンピオンズリーグでは6試合15失点という散々な結果でグループステージ敗退。2022-23シーズンでインテルを決勝に導いたイメージが強かったので反動で失望も大きかったと思います。
転機になったのは、年末のリバプール戦あたりでした。実に34本ものシュートを防ぎきってドローに持ち込んだアウェーのリバプール戦。チームが団結し無失点に抑えたことでチームやファンの信頼を勝ち取った試合だったと感じます。
プレミアリーグ 2023.12.18 リバプール 0-0 マンチェスターUのハイライト(Youtube)
マンチェスター・ユナイテッドはもともとゴールキーパーからのビルドアップの精度が高くないといわれ、その課題を解決するために呼ばれました。それに加え、セーブ率という観点でリーグトップの成績を残し、ゴールキーパー本来の仕事であるシュートストップ能力の高さも証明したといえると思います。
プレミアリーグ2023-24 セーブ率ランキングベスト10
順位 | ゴールキーパー | セーブ率 | 試合数 | 被シュート数 |
1 | アンドレ・オナナ | 74.9 | 38 | 203 |
2 | アルフォンス・アレオラ | 74.5 | 31 | 188 |
3 | ジョーダン・ピックフォード | 73.9 | 38 | 165 |
4 | ジョゼ・サ | 73.4 | 35 | 188 |
5 | アリソン | 73.4 | 28 | 109 |
6 | バルト・フェルブルッヘン | 72.5 | 21 | 91 |
7 | ニック・ポープ | 72.4 | 15 | 58 |
8 | ベルント・レノ | 72.1 | 38 | 190 |
9 | マルティン・ドゥーブラフカ | 70.8 | 23 | 130 |
10 | エデルソン | 70.7 | 33 | 82 |
プレミアリーグ2023-24 セーブ数ランキング
セーブ数
シュートをストップした本数。
チームとして打たれた本数が多ければ多いほど、セーブ数は多くなる傾向があるため、GKの実力を表す指標としては微妙。しかし、GKがシュートを止めることは、ゴールを決めることと同じ価値があるとも思っているため参考とする。
1位:アンドレ・オナナ(André Onana) 146本
セーブ率に続いてセーブ数も第1位はマンチェスター・ユナイテッドのアンドレ・オナナ選手です。
実に146本ものシュートを止めています。そもそもマンチェスター・ユナイテッドの被シュート数は203。これはワースト5位の成績で、強豪チームとしてはさすがに多く、改善ポイントといえると思います。
オナナ選手はセーブ率、セーブ数の2冠です。それに加えリーグ戦では38試合全試合に出場しており、シーズンを通して試合に出続けていること自体も評価したいですよね。
プレミアリーグ2023-24 セーブ率ランキングベスト10
順位 | 選手 | 被シュート数 | セーブ数 | チーム |
1 | アンドレ・オナナ | 203 | 146 | マンチェスター・ユナイテッド |
2 | トーマス・カミンスキー | 221 | 140 | ルートン・タウン |
3 | アルフォンス・アレオラ | 188 | 136 | ウェストハム |
4 | ベルント・レノ | 190 | 133 | フルハム |
5 | ジョゼ・サ | 188 | 131 | ウルヴス |
6 | ウェス・フォデリンガム | 204 | 130 | シェフィールド・ユナイテッド |
7 | ジョーダン・ピックフォード | 165 | 117 | エバートン |
8 | マルク・フレッケン | 176 | 113 | ブレントフォード |
9 | ノルベルト・ムラーラ・ネト | 165 | 110 | ボーンマス |
10 | グリエルモ・ヴィカーリオ | 167 | 109 | トットナム |
プレミアリーグ2023-24 期待以上のセーブ数(PSxG+/-) ランキング
PSxG+/-
難しいセーブでどれだけ失点を防いだかを表す指標。
PSxGはPost Shot Expected Goalsの略で、シュートのクオリティを鑑みて、その試合で期待されるゴール数でOptaより提供される。いいかえると、平均的なゴールキーパーであれば、これくら失点されていたはず、という数字ともいえる。ここから実際のセーブ数の差分(+/-)が、PSxG+/-となる。
PSxG+/- = 失点数 - PSxG
1位:ジョゼ・サ(José Sá) +8.9
プレミアリーグのPSxG+/-の第1位はウルブスのジョゼ・サ。ジョゼ・サでなければ、ウルブスは9点以上多く失点していたという見立てになります。
2023-24シーズン14位のウルブスの得失点差は-15。もし9点多く失点してたら、-24ということになります。ギリギリ降格を免れた17位ノッティンガム・フォレストの得失点差が-18ですので、一気に降格圏に落ちていた可能性すらありますね。
また、2021-22シーズンの調査をしたときも、セーブ率、PSxG+/-でプレミアリーグ1位でした!長年にわたり活躍しているゴールキーパーです。
プレミアリーグ2023-24 PSxG+/-ランキングベスト10
順位 | 選手 | PSxG+/- | PSxG | チーム |
1 | ジョゼ・サ | 8.9 | 65.9 | ウルブス |
2 | エミリアーノ・マルティネス | 6.8 | 50.8 | アストン・ヴィラ |
3 | アリヤネット・ムリッチ | 6.7 | 21.7 | バーンリー |
4 | ジョーダン・ピックフォード | 4.4 | 52.4 | エバートン |
5 | アルフォンス・アレオラ | 2.1 | 52.1 | ウェストハム |
6 | アンドレ・オナナ | 2.1 | 59.1 | マンチェスター・ユナイテッド |
7 | シュテファン・オルテガ | 2.0 | 9.0 | マンチェスター・シティ |
8 | グリエルモ・ヴィカーリオ | 2.0 | 60.0 | トットナム |
9 | クィービーン・ケレハー | 1.3 | 11.3 | リバプール |
10 | エデルソン | 1.2 | 27.2 | マンチェスター・シティ |
プレミアリーグ2023-24 防御率 ランキング
防御率
1試合あたりの平均失点数。1.00以下が1つの目安になる。
防御率 = 失点数 ÷ 試合数
1位:ダビド・ラヤ(David Raya) 0.75
1位はアーセナルのダビド・ラヤです。
今シーズンのプレミアリーグは、アーセルナルが20年ぶりの優勝を果たすのではないかと最後の最後まで大興奮のシーズンでしたね!その原動力となったのがダビド・ラヤ。失点の数でもアーセナルはリーグで最も少なく、わずかに29失点です。ラヤ自身も32試合に出場し、24失点。
防御率は特にゴールキーパーだけの力でなんとかなるスタッツではなく、チームの戦術やディフェンス力に依存する部分も多いですが、それにしてもり立派な数値です。
プレミアリーグ2023-24 防御率ランキングベスト10
順位 | 選手 | 防御率 | 試合数 | 失点 | チーム |
1 | ダビド・ラヤ | 0.75 | 32 | 24 | アーセナル |
2 | エデルソン | 0.87 | 33 | 27 | マンチェスター・シティ |
3 | ニック・ポープ | 1.07 | 15 | 16 | ニューカッスル |
4 | アリソン | 1.07 | 28 | 30 | リバプール |
5 | バルト・フェルブルッヘン | 1.33 | 21 | 28 | ブライトン |
6 | ジョーダン・ピックフォード | 1.34 | 38 | 51 | エバートン |
7 | サム・ジョンストン | 1.35 | 20 | 27 | クリスタルパレス |
8 | エミリアーノ・マルティネス | 1.43 | 34 | 48 | アストン・ヴィラ |
9 | アンドレ・オナナ | 1.53 | 38 | 58 | マンチェスター・ユナイテッド |
10 | ロベルト・サンチェス | 1.57 | 16 | 25 | チェルシー |
プレミアリーグ2023-24 クリーンシート数 ランキング
クリーンシート数
フル出場した試合のうち無失点で終わった試合の数。クリーンシートとは、無失点の意味。
1位:ダビド・ラヤ 16試合
1位はアーセナルのダビド・ラヤ。16つのクリーンシートを積み上げています。
ラヤが出場した32試合のうち、16試合でクリーンシート、つまり無失点ということで、優勝争いをしたチームとして納得の成績です。長年アーセナルは長期にわたりゴールを任せられるゴールキーパーを決めきれない状況だったので、問題解決って感じですね。
プレミアリーグ公式のYouTubeでも、クリーンシートの多いGKのセーブ動画をアップしてくれています!
Goalkeepers With MOST Clean Sheets | Ederson, Raya, Onana & More! | Premier League 2023/24(Youtube)
プレミアリーグ2023-24 クリーンシート数 ランキングベスト10
順位 | 選手 | クリーンシート | 試合数 | チーム |
1 | ダビド・ラヤ | 16 | 32 | アーセナル |
2 | ジョーダン・ピックフォード | 13 | 38 | エバートン |
3 | エデルソン | 10 | 33 | マンチェスター・シティ |
4 | ベルント・レノ | 10 | 38 | フルハム |
5 | アンドレ・オナナ | 9 | 38 | マンチェスター・ユナイテッド |
6 | アリソン | 8 | 28 | リバプール |
7 | エミリアーノ・マルティネス | 8 | 34 | アストン・ヴィラ |
8 | ノルベルト・ムラーラ・ネト | 7 | 32 | ボーンマス |
9 | マルク・フレッケン | 7 | 37 | ブレントフォード |
10 | グリエルモ・ヴィカーリオ | 7 | 38 | トットナム |
プレミアリーグ2023-24 パス本数 ランキング
パス本数
味方にパスを通した本数。ゴールキックは除く。
1位:ベルント・レノ(Bernd Leno) 1372本
1位はフルハムのベルント・レノです。
Embed from Getty Imagesゴールキーパーはゴールを守るだけでなく、攻撃の第一歩としての貢献も求められるため、パス本数も重要なスタッツの1つです。しかし、チームによってはゴールキーパーを含めたビルドアップを重視しない戦術を採用する場合もありますので、GKの能力というよりはチーム戦術の色が出るスタッツになりますね。
2年前の記事では1位がロベルト・サンチェスでしたが、1269本でした。これは2023-24シーズンに置き換えると8位ですので、年々ゴールキーパーを巻き込んだパス回しというのが増えていることが分かりますね。
またロベルト・サンチェス自身は当時はブライトンの所属していましたが、現在はチェルシーに移籍しています。2023-24でのパス本数はわずかに516本。ただしこれは出場試合数が16試合に留まっているからで、正GKとしてシーズンを通して試合に出られれば再びランキング上位に入ってくることが期待されます。
プレミアリーグ2023-24 パス本数ランキング ベスト10
順位 | 選手 | パス本数 | スロー本数 | 平均距離 | チーム |
1 | ベルント・レノ | 1372 | 167 | 23.7 | フルハム |
2 | グリエルモ・ヴィカーリオ | 1363 | 193 | 14.3 | トットナム |
3 | アンドレ・オナナ | 1351 | 140 | 31 | マンチェスター・ユナイテッド |
4 | ジェームス・トラフォード | 1332 | 162 | 33.9 | バーンリー |
5 | ジョーダン・ピックフォード | 1297 | 141 | 56.7 | エバートン |
6 | マルク・フレッケン | 1288 | 131 | 36.6 | ブレントフォード |
7 | エミリアーノ・マルティネス | 1270 | 157 | 21 | アストン・ヴィラ |
8 | トーマス・カミンスキ | 1121 | 150 | 52 | ルートン・タウン |
9 | エデルソン | 1120 | 137 | 18.3 | マンチェスター・シティ |
10 | アリソン | 1021 | 140 | 14.1 | リバプール |
プレミアリーグ2023-24 ペナルティエリア外でのクリア数 ランキング
ペナルティエリア外でのクリア数
ゴールキーパーが自陣のペナルティエリアを飛び出してのディフェンスアクションの数。
1位:グリエルモ・ヴィカーリオ(Guglielmo Vicario) 81本
1位はトットナムのグリエルモ・ヴィカーリオです。
Embed from Getty Imagesゴールキーパーに求められるのは、ゴール前でシュートを止めるだけではありません。時には高いディフェンスラインの裏をカバーし、ペナルティエリアを飛び出してボールをクリアする必要があります。その数が最も多かったのはグリエルモ・ヴィカーリオでした。
なお、1試合あたりに換算すると、9位のジェイソン・スティールが2.41/試合でもっとも多くなります。そこにヴィカーリオ(2.13試合)、マルティネス(2.06/試合)が続きます。1試合あたりで考えると、ペナルティエリアを飛び出しての守備機会は、全体的に思ったよりも多くない印象ですね。
プレミアリーグ2023-24 ペナルティエリア外でのクリア数ランキング ベスト10
順位 | 選手 | チーム名 | ペナ外でのクリア数 |
1 | グリエルモ・ヴィカーリオ | トットナム | 81 |
2 | トーマス・カミンスキー | ルートン・タウン | 76 |
3 | エミリアーノ・マルティネス | アストン・ヴィラ | 69 |
4 | ジョーダン・ピックフォード | エバートン | 54 |
5 | ダビド・ラヤ | アーセナル | 50 |
6 | エデルソン | マンチェスター・シティ | 50 |
7 | ジェームス・トラフォード | バーンリー | 43 |
8 | ウェス・フォデリンガム | シェフィールド・ユナイテッド | 42 |
9 | ジェイソン・スティール | ブライトン | 41 |
10 | ベルント・レノ | フルハム | 40 |
プレミアリーグ2023-24 クロスボール処理率 ランキング
クロスボール処理率
相手から受けたクロスボールのうち、処理に成功したものの割合。GKが処理することが現実的でないクロスボールも分母に含まれるので、概ね10%を超えると多い方。クロスボールへの積極性を読み取る参考値程度。
クロスボール処理率 = GKが処理したクロスボール ÷ 被クロスボール数
1位:ダビド・ラヤ(David Raya) 12.2%
クロスボール処理率は、ダビド・ラヤが12.2%と1位でした!
2位につけたのが、0.1ポイント差でエミリアーノ・マルティネス。12.1%です。
Embed from Getty Imagesプレミアリーグ2023-24 クロスボール処理率ランキングベスト10
順位 | 選手 | チーム | 被クロス数 | クロス処理数 | クロス処理率 |
1 | ダビド・ラヤ | アーセナル | 329 | 40 | 12.2 |
2 | エミリアーノ・マルティネス | アストン・ヴィラ | 373 | 45 | 12.1 |
3 | エデルソン | マンチェスター・シティ | 247 | 25 | 10.1 |
4 | マット・ターナー | ノッティンガム・フォレスト | 296 | 30 | 10.1 |
5 | ロベルト・サンチェス | チェルシー | 202 | 19 | 9.4 |
6 | ジョゼ・サ | ウルヴス | 522 | 45 | 8.6 |
7 | マルク・フレッケン | ブレントフォード | 568 | 44 | 7.7 |
8 | バルト・フェルブルッヘン | ブライトン | 232 | 17 | 7.3 |
9 | ジェームス・トラフォード | バーンリー | 419 | 30 | 7.2 |
10 | サム・ジョンストン | クリスタルパレス | 339 | 24 | 7.1 |
まとめ
プレミアリーグ2023-24シーズンに最も活躍したゴールキーパーは各スタッツから見ていきました。
- セーブ率(オナナ 74.9%)
- セーブ数(オナナ 146本)
- PSxG+/-(ジョゼ・サ +8.9)
- 防御率(ダビド・ラヤ 0.75)
- クリーンシート(ダビド・ラヤ 16試合)
- パス本数(レノ 1372本)
- ペナルティエリア外でのクリア数(ヴィカーリオ 81本)
- クロスボール処理率(ダビド・ラヤ 12.2%)