データ・スタッツ

世界最高のゴールキーパーランキングをスタッツから評価する / 2022年2月

英メディアのFourFourTwoが2022年2月に発表した、世界最高のゴールキーパーランキングをベースに、各ゴールキーパーのスタッツの観点から検証します!

評価はあくまで個人的なものなので、気を悪くしたらごめんなさい!寛容な気持ちで読んでいただけたらありがたいです!

なおスタッツは全てfbref.comから引用させていただいています。

10位:ヤン・オブラク(アトレティコ・マドリード) 【評価:△】

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10位はスロベニア代表GKのヤン・オブラク。この順位に登場したの意外ではないでしょうか。というのも、ここ何年もこういったランキングではトップの常連だったからです。

しかし、今シーズンのオブラクは、スタッツの観点では今一つ。28節終了時点でのセーブ率は54.4%。これはなんとリーガエスパニョーラの全チームの中で最低の成績です。ですので、今シーズンの成績から判断するのであれば、ランク外すらありうる状況です。

もちろん、失点やセーブ率というのはゴールキーパーだけの責任ではありませんが、良い成績が残せていないのは確かです。

とはいえ、現在4位につける昨シーズンのチャンピオンであるアトレティコ・マドリードが、再び優勝争いに食い込むには、オブラクの活躍が欠かせません!

シーズン 順位 セーブ率 完封率
2014-20153rd75.0 %63.6 %
2015-20163rd81.8 %63.2 %
2016-20173rd77.8 %50.0 %
2017-20182nd83.1 %59.5 %
2018-20192nd82.1 %54.1 %
2019-20203rd77.1 %44.7 %
2020-20211st80.0 %47.4 %
2021-20224th54.4 %28.6 %
https://fbref.com/en/players/ee8508c0/Jan-Oblak

9位:ヤシン・ブヌ(セビージャ) 【評価:◎】

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リーガ・エスパニョーラでオブラクとは対照的なシーズンを送っているのが、セビージャのモロッコ代表GKヤシン・ブヌです。

セビージャはリーガ・エスパニョーラで現在2位。セーブ率80%は、リーガ・エスパニョーラの全ゴールキーパーの中でトップ!1試合あたりの失点が0.57というのもリーグトップです。

ビッグネームとは言い難いヤシン・ブヌですが、今回のベスト10入りは納得の結果といってもいいと思います。もっと順位上でもいいかも。

8位:ウナイ・シモン(アスレティック・ビルバオ) 【評価:○】

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8位はスペイン代表GKのウナイ・シモンです。24歳にして、スペイン代表として既に20試合以上の出場を果たしています。ユーロ2020では、絶好調のデ・ヘアを抑えスタメンとして出場したのは驚きでした。

リーガ・エスパニョーラでは、中堅クラブであるアスレチック・ビルバオで74.4%のセーブ率を誇り、前述のヤシン・ブヌに続き2位の成績です。またビルドアップへの貢献度も高く、万能型のGKとして、今後ビッグクラブへの移籍が期待されるゴールキーパーです!

スペイン代表としての実績が加味されているのかも知れませんが、リーガでの成績はヤシン・ブヌの方が格上なので、シモンとブヌの順位は逆でもよいのかなと思います。

7位:ジョゼ・サ(ウルヴァーハンプトン・ワンダラーズ) 【評価:◎】

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プレミアリーグのウルヴァーハンプトンで活躍するジョゼ・サ。このランキングに入ってきたのは少し意外でしょうか。

しかし、プレミアリーグで現在№1のセーブ率を記録しているのは、現CL王者のメンディでも、今シーズン絶好調のデ・ヘアでもなく、ウルヴァーハンプトンのジョゼ・サです。セーブ率は82.2%と80%超えです

サが、ウルヴァーハンプトンに加入したのは2021シーズンのこと。それまでチームやファンの信頼の厚かったポルトガル代表ゴールキーパーのルイ・パトリシオが、セリエAのローマに移籍したタイミングです。

ウルヴス(ウルヴァーハンプトンの愛称)にポルトガル人GKの枠があるのかどうかはわかりませんが、サもポルトガル人のゴールキーパーで、各年代の代表にも選ばれているゴールキーパーです。

30節終了時点の順位表ですが、得点は周りのチームに比べ多くないですが、失点も少ないため、ウルヴスがこの順位にいることがわかると思います。サの貢献度は高いといえます。

ベスト10入りは納得かなと思います。

順位チーム名 勝点
1マンチェスター・シティ29224368185070
2リヴァプール29216275205569
3チェルシー28178357193859
4アーセナル28173844311354
5トッテナム291631047361151
6マンチェスター・ユナイテッド2914874840850
7ウエストハム301461049391048
8ウォルヴァーハンプトン30144123126546
9アストン・ヴィラ29113154140136
10レスター・シティ27106114246-436

6位:アーロン・ラムズデール(アーセナル) 【評価:○】

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今シーズン、2500万ユーロをかけてアーセナルがラムズデールを獲得したときには批判もありました。アーセナルにはベルント・レノという絶対的な守護神がいたためです。

しかし、シーズンが始まってアーセナルはまさかの絶不調。ブレントフォードに敗れ、更には第3節でマンチェスター・シティに5失点で敗れると、アルテタ監督は、レノを控えに降格させることを決定。代わりに出場したのがラムズデールでした。

そのシュートストップ能力と、ビルドアップへの貢献で一気にファンやチームメイトの信頼を勝ち取りました。そこからアーセナルは息を吹き返し、現在はトップ4と本来いるべき場所に戻ってきているといえますね。

長くなりましたがスタッツですよね。プレミアリーグで突出したスタッツはないのですが、総合力が高いゴールキーパーといえます。

  • 1試合あたりの失点:0.92 (リーグ5位) 。1試合あたい1点以下は十分に素晴らしい成績です。
  • セーブ率:78.7%(リーグ3位)
  • クロスストップ率:10.2%(リーグ4位)。1つの目安である10%を超えていますので、クロスボールにも積極的に貢献しています。

5位:アリソン(リバプール) 【評価:◎】

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2020-21シーズンはリバプールにとって厳しいシーズンでした。守備の要ファン・ダイクがシーズン序盤に、右膝前十字靭帯損傷の重傷を負い守備が崩壊。そんな中でもアリソンの安定したプレーでチームを支え、なんとかチャンピオンズリーグ圏内を死守した形です。

そんな中、アリソンは今シーズンも、好調をキープ!1試合あたりの失点は0.67ではリーグ2位。セーブ率75.3%とこちらはリーグ4位です。 PSxG+/-は+4.3とまずまずでリーグ3位です。

それから特筆すべきは、スイーパーとしての役割。ペナ外での守備数が1.48回/試合とこれはプレミアリーグで、ニック・ポープに次ぐ2位の成績です。

シュートセーブ力だけでなく、守備範囲も広い万能なゴールキーパーといえるでしょう。5位も納得の順位です。

首位のマンチェスターシティにわずか勝ち点1差の2位。今シーズンのプレミアリーグは最後まで目が離せませんね。

4位:エデルソン(マンチェスター・シティ) 【評価:◎】

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近年ゴールキーパーにもビルドアップの起点となることが求められるようになって久しいですが、その中でもエデルソンに肩を並べる存在は、簡単には見つけることができません。

パス成功率は89.3%とプレミアリーグトップ。中でもロングパスの成功率は70.7%と圧倒的な1位です。ショートパスとミドルパスなんて成功率100%です。パスの数も739本で4位と、やはりビルドアップへの貢献はスタッツにも表れていますね。今後、「効果的なパス」の数を定量的にスタッツとして表現できたらいいんですけどね。

選手パス数 パス成功率 パス成功率 ミドルパス成功率 ロングパス成功率
Ederson73989.310010070.7
Alisson87286.598.598.864.6
Edouard Mendy55080.899.497.651.8
Vicente Guaita59079.910099.655.3
Hugo Lloris56478.999.399.556.8

もちろんゴールキーピングの能力も、その結果が物語っているといえます。29試合で18失点はプレミアリーグで最小。1試合あたりわずか0.62点です。また17つのクリーンシートもリバプールと並んでプレミアリーグトップです。ただ話題になりにくいだけで、ゴールキーパーとしても世界トップクラスです。

グラルディオラ監督のもとで今後しばらくは最高のGKとして君臨することになりそう、ということで4位は納得感あります。

3位:マヌエル・ノイアー(バイエルン・ミュンヘン)【評価:○】

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間違いなく世界歴代最高ゴールキーパーの一人であるマヌエル・ノイアー。2014年にはゴールキーパーとして2人目のバロンドール獲得が期待されましたが、残念ながら3位でしたね。

その後、怪我に苦しめられる時期もありましたが、2019-20シーズンには、ブンデスリーガ、DFBポカール、そしてUEFAチャンピオンズリーグの3冠を達成!改めてノイアーの存在感を実感したシーズンでした。

スタッツに目を向けると、さすがリーグ9連覇中のチームにあって、失点は27試合で28失点とリーグ1位、クリーンシート9試合もリーグ1位です。これはもちろんゴールキーパーとして素晴らしい結果です。

しかしながらノイアー個人のスタッツとしてはランキング2位というほどではないといえます。

セーブ率72.6%はブンデスリーガで4位とそこそこの成績ですが、PSxG+/-は-0.9。これはブンデスリーガで今シーズン出場したゴールキーパー34人中21位の数字です。マイナスということは平均的なゴールキーパーに期待される値を下回ることになります。

とはいえ、その存在感はやはり大きい。2021-22シーズンも膝の手術を行うなど、怪我との戦いが続きますが、あと数シーズンはノイアーがバイエルンの正GKとして君臨する可能性が高そうです。

2位:ダビド=デ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド) 【評価:◎】

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デ・ヘアの今シーズンの活躍は素晴らしいですよね。シーズン序盤から数々のスーパーセーブでチームを救っている姿が印象的です。

スタッツの観点からもそれが証明されています。fbref.comが提供している「PSxG+/-」という指標ではプレミアリーグトップ。10.4という数字は、デ・ヘアだからこそ防ぐことができた失点が10点以上あるという評価です。

順位 選手 チーム PSxG+/- /90
1David de GeaManchester Utd10.40.36
2José SáWolves10.10.34
3AlissonLiverpool4.30.16
4Martin DúbravkaNewcastle Utd3.90.23
5Álvaro FernándezBrentford2.70.23

また、苦手とされていたPKストップも今シーズンは多く、ここまでで5本中3本のPKストップを記録

2021シーズンではヘンダーソンが正GKにふさわしいのではという声も高まりつつありましたが、2022シーズンの目を見張る活躍により、そんな声をかき消したといえます。

2位というランキングも納得の順位かなと思っています。

1位:エドゥアール・メンディ(チェルシー)【評価:◎】

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1位として紹介されていたのは、やはりこの人。チェルシーのエドゥアール・メンディでした。

2020年にチェルシーに加入すると、いきなりチャンピオンズリーグのタイトルをチームにもたらします。特に準決勝のレアル・マドリード戦での活躍は記憶に新しいですね。今年2月にはクラブ・ワールドカップのタイトル獲得にも貢献しました。

セネガル代表としても、アフリカネイションズカップ(AFCON 2022)では決勝でエジプトをPK戦の末破り、見事に優勝を果たしています!

スタッツ以前に、チームにタイトルをもたらすことのできるゴールキーパーとして、1位の選出は納得です。

スタッツでは、セーブ率82.1%はリーグ2位。1位のジョゼ・サーとはわずか0.1%差ですので、次節には入れ替わっている可能性もあります。チェルシーの1試合あたりの失点は0.68でリーグ2位。マンチェスターシティとリバプールを含めた3チームが全て0.6点台と他チームから群を抜いています。

チェルシーを最後尾からしっかり支え、チームのタイトル貢献にしっかり貢献していることがスタッツからも読み取れます。ランキング1位にふさわしい成績といっていいと思います。

まとめ

最後まで読んでくださってありがとうございました。本記事では、英メディアのFourFourTwoが2022年2月に発表した、世界最高のゴールキーパーランキングの妥当性を、実際の各ゴールキーパーの実際のスタッツを元に検証しました。

各ゴールキーパーの貢献度や価値は、単純にスタッツだけで評価できるものではないのは承知の上で書いておりますので、一つの角度からの考察して楽しんでもらえればと思っています。

読んでくださってありがとうございました。

参考リンク:https://www.fourfourtwo.com/features/ranked-the-10-best-goalkeepers-in-the-world

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