※本コラムは昔運営していた川口能活ファンサイト(深海)で掲載していたコラムを再掲したものです。一部内容が古い可能性がありますがご了承ください。
「失点はニアを抜かれてしまった」とGKのニア、つまり、GKにとって、シューターに近い側にシュートを決められることに 否定的な評価をする人が多いようなのですが、 ニアを抜かれて何が悪いか!?と声を大にしていいたいです。
DFがきっちりとシューターにマークにいっている場合。そのときはDFがファーサイド、GKがニア側をカバーすることによって、分担してシュートからゴールを防ぐというのは鉄則です。ゴールの幅は7.32メートルと、一人で全てを防ごうとするには広すぎますが、DFがファー、GKがニアを守ると暗黙のうちに決めておけば、二人でうまく分担してゴールを守ることができるからです。左右どちらに飛んでくるか分からないシュートに反応するのは難しいですが、片方をDFに任せて、もう片方を自分が守るというのであれば、シュートを止められる可能性が大いに高まるのです。だからDFがしっかりとファーサイドをカバーしているのにも関わらず、GKがニアサイドをあっさりと抜かれたら非難の対象となるのは、ある程度は仕方がないことといえます。
しかし、DFのマークが間に合っていない場合。この場合はニアもクソもありません。GKのポジショニングの基本は、相手FWから見て、ゴールの中心にいること。ニア、ファーどちらにシュートが飛んできても同じ確率で止めることができるようなポジションを取る必要があります。少し角度のない位置からのシュートであれば、FWから見て、ニア側の方が、若干ゴールまでの距離が短いため、それに合わせてGKのポジションも少しニアにずれたりはしますが、ニア、あるいはファーだけをカバーすればいいというものではありません。古い話になりますが、98年のW杯のクロアチア戦、ジャマイカ戦、それぞれで川口はニアサイドにシュートを決められました。これに対して批判的な意見があったのが信じられなかったです。例えばジャマイカ戦の方をよく見てみると、DFの相馬は明らかに相手FWウィットモア(懐かしくね?)へのマークに間に合っていませんでした。シュートをブロックしようとなんとか足を出したのは川口から見たらニアサイドでした。シュートはそんな相馬の足の下から抜けてきたニアサイドへのシュートでしたが、このシュートが川口の左手をかすめてゴールネットに突き刺ささってしまったのですが、あの至近距離からのシュートであのゴールが決まってしまったこと。どこに責められることがあるのか?といいたいです。
川口のアジアカップ2004準決勝でのバーレーン戦を思い出すと、ニアに決められたシュートが目立ちましたが、ニアの失点が目立つのはテレビで観戦してるからに過ぎません。テレビのリプレイは、大抵逆側のゴールやゴール裏から撮った映像で、ゴール正面からのものがほとんどです。少し角度のあるところからのシュートの際には、正面から見るとGKのポジションがどちらかに寄って見えるので、そちらのサイドに決められると確かに止められそうに見えることもあるかも知れませんが、GKとFWの2点を通る直線上から見れば、バーレーンの選手が、ゴール隅に的確にシュートを打っていることがわかると思います。ファーに決められたシュートはファインゴール。ニアに決められたシュートはGKのミス。そんな安易な考え方はどうにかならないものでしょうか。