コラム

GK人 - 2002.4.12

  ※本コラムは昔運営していた川口能活ファンサイト(深海)で掲載していたコラムを再掲したものです。一部内容が古い可能性がありますがご了承ください。  

忘れられない言葉がある。 高校の現役を引退したときに、コーチからもらった言葉。

「これだけ重いものを背負ってきたんだから、これから社会に出てもそう簡単には押しつぶされないよな。」

チームメイト、コーチ、そして応援に来てくれた友達や家族。
そんな人たちみんなの代表としてグランドに立つことは、
名誉である代わりにとてつもないプレッシャーである。
その中でもGKというポジションのプレッシャーは格別。
勝つために、上に行くために、みんないろんな形で努力をしてきた。
選手は自分の技術やチーム力をアップするために死ぬほど練習して、
コーチはそんな選手達の道しるべになるべく、必死に努力してくれて、
友達や親もそれをサポートするために、いろんな形で応援してくれた。
全ては勝つという夢に向かって。
選手はそんなみんなの夢を背負いながら試合に出ている。
しかし、GKはたった一つのプレーでその夢を全てぶち壊してしまう可能性だってある。
そんなシビアなポジション。
GKをやっている時間が長ければ長いほどゴールは重くなっていった気がした。
そんな重荷を何年かぶりに下ろすことができた日。
なんだか気が抜けて、悔しさとも嬉しさともいえない涙が出てきた。
同時にどんどん重くなっていったゴールを支えつづけているうちに、
格段に成長していた自分にも気づいた。

GKはどんな逆境にもつぶされない。
たとえ背負うものが変わっても、決して押しつぶされたりはしない。

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